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【憂国の直言】中国の侵略を呼び込む「憲法第九条」 松木國俊(朝鮮近現代史研究所所長)

 「九条の会」という団体がある。その主張は「戦後日本が平和を維持出来たのは戦争放棄を謳った憲法第九条のおかげ」というものだ。

彼らが本気でそう信じているのなら、第九条を世界に広げるべきだろう。隣の北朝鮮は経済制裁や飢饉、おまけにコロナ禍で人々は食うや食わずの生活をしている。ならば金正恩に「核開発のお金を人民生活に回しなさい。憲法九条さえ採用すればどこの国も攻めてきませんよ」とアドバイスしてはどうだろう。アメリカ、中国、ロシア、EU、イラン、タリバンにも呼びかけ、世界の国々に「第九条」を自国憲法に取り入れるよう積極的に運動するべきではないか。

 しかし彼らがそれをやるはずがない。「九条の会」の本質は左翼イデオロギー集団であり、真の目的は日本の国家体制の弱体化である。彼らは憲法で平和を守れるはずがないことを十分承知していながら、「平和憲法を守れ」と叫んで日本を亡国へと導こうとしているのだ。偽善どころか「国家転覆のための謀略活動」と言っても過言ではない。

実は憲法第九条こそが侵略戦争を呼び込む最も危険な条項である。古今東西、戦争は軍事力のバランスが崩れた時に発生している。第二次大戦の引き金となったドイツのポーランド侵攻は、ドイツに対抗できる軍事力がポーランドになかったために招いた悲劇である。ロシアがウクライナに攻め入ったのは、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟していなかったからだ。加盟していればNATOの「集団的自衛権」に守られて、ロシアも手を出せなかったに違いない。

 憲法第九条によって軍事力を剥奪されている日本は、侵略国の恰好のターゲットになり得る。これまで辛うじて平和を維持できたのは、「軍隊もどき」の自衛隊と日米安保条約という「見せかけの抑止力」のおかげであった。

しかし、アフガン撤退が示す通りもはやアメリカは頼みにならず、自衛隊を正式な国防軍に格上げして防衛力を高め、NATO同様の集団安保体制を築いてその一員となる以外に、強大な軍事力で領土拡張を狙う中国から日本の独立を守る道はない。

ところがあろうことか日本国憲法はその両方を禁じているのだ。中国が日本侵略の誘惑にかられるのは当然であり、このままでは21世紀半ばまでに日本は中国の餌食となる可能性が極めて高い。

ここで日本国民が危機感を持って憲法を改正し、国を守る意思を明確にすれば、中国は簡単に日本に手を出せなくなる。それでは都合が悪いので、中国は情報戦を展開しており「憲法改正は軍国主義復活につながる」という時代錯誤の「嘘八百」で善良な日本人を惑わせ、世論を「改憲反対」へと誘導しているのだ。そのお先棒を担いでいるのが「九条の会」である。

 以上述べた通り「憲法第九条が日本の平和を守る」は恐るべき欺瞞であり、日本を亡国へ導くための「悪魔のささやき」である。

 「九条の会」は憲法改正を永久に不可能にするため、九条を保持している日本国民にノーベル平和賞を与える運動まで始めている。中国も北朝鮮も狂喜して支援するはずだ。

そのような海外を巻き込んだ憲法改正阻止運動に対抗するために、筆者が所属している国際歴史論戦研究所では、国連人権理事会宛てに意見書を提出した。その要旨は次の通りである。(本文はすでに国連人権理事会のHPに掲載されている)

 

①日本国憲法は国防のための戦力及び交戦権を認めていない。外国の侵略から自分たちを守る手段が奪われた日本国民は極めて危険な状態にあり、基本的人権及び生存権が脅かされている。

②自衛隊は法的に警察組織であり軍隊ではない。従って戦時国際法に基づくネガティブリストに基づく戦闘は不可能であり、有効な防衛行動はとれない。

③国民の基本的人権と生存権を脅かす日本国憲法第九条の改正を行わないのは、日本国政府の不作為である。我々は国連人権理事会に対し、日本人の自存自衛を可能ならしめるため、即刻日本国憲法の改正手続きをとるよう日本政府に勧告することを要請する。

 

 我々日本国民は、憲法第九条が外国の侵略を呼び込む危険条項であることを肝に銘じ、内なる敵である「九条の会」への警戒を強めると共に、皆が知恵を集め、可能なあらゆる手段を用いて日本を亡国から救うために、欠陥憲法の改正を是非共実現しなければならない。