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【なるほど納得政経塾】-61- 「森林破壊は自滅への道」   小山和伸(神奈川大学経済学部教授・経済学博士)

水害の多発

 最近、世界各地で浸水被害が続発している。7月3日に、静岡県熱海市で土石流災害が発生し28名の死者・行方不明者が出ている。6月21日にフランスで洪水被害が出たが、 7月14日には大雨でライン川が氾濫し、西部ドイツとベルギーで死者180名以上、行方不明者千数百名という大惨事となっている。中共では例年水害が発生するが、先日7月12日には河南省で大雨により14万人が被災するという水害が発生している。

 水害の原因となっている大雨の発生は、地球の温暖化と関連が深いとされているが、今一つの基本的な問題は土地の保水力である。土地の保水力と土の保全を支えているのは、樹木であり森林である。熱海の土石流の原因として、ソーラーパネル設置のため広範囲に森林を伐採したことが指摘されている。僅かな電力と引き換えに、生活の基盤である田畑・家屋敷・自分や家族の身体・生命まで犠牲にするとは、狂気の選択としか言いようがない。他の水害の原因に、森林破壊が関与しているかどうかは不明だが、森林の重要性はいかなる国においても自明である。

 実は、樹木を育てることのできる表土 (腐葉土)は、地表から僅か十数センチからせいぜい三十センチくらいしかない。これが広範囲に流されると、その地域は草木も生えない荒地となる。この表土を支えているのが樹木・森林である。深く広がる根が土を保全し、大雨による水分を吸収する。そうして育つ森林は、光合成によって大量の二酸化炭素を酸素に変換する。

 

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