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【論説】なぜ小山田氏?最後の最後までトラブル招く五輪組織委の人選

※イメージ画像

 

巨大ビジネスと化した五輪だから、運営に関して利権や陰謀が絡むのは宿命ともいえる。しかし、東京オリンピック・パラリンピックほど、開催地決定直後からトラブルに事欠かない五輪があるだろうか。

 

開閉会式の演出責任者が、タレント渡辺直美氏の容姿を侮辱するような演出プランを提案したことで辞任したのは3月。そして今回、開会を10日後に控えた7月14日、開閉会式のクリエイターが組織委員会によって発表され、ネットニュースやSNS上で大炎上している。楽曲を担当する小山田圭吾氏(52)が、小中高生時代に障害者である同級生に犯罪行為ともいえるイジメを繰り返していたことが話題となり、大会コンセプトである「多様性と調和」とは真反対の人選であるとして賛否が渦巻いているのだ。

 

あまりにも酷いイジメの内容ではあるが、それを行っていたのは彼がまだ社会人になる前。その点を踏まえた上で、実際に彼が語っていたイジメの内容を採り上げたい。音楽雑誌『ロッキンオン・ジャパン』1994年1月号で、記者と対談する形で小山田氏が語ったインタビューによると、和光大学付属の一貫校に通っていた同氏は「うちはいじめがほんとすごかったなあ」とし、「けっこう今考えるとほんとすっごいヒドイことしてたわ。この場を借りてお詫びします(笑)だって、けっこうほんとキツイことしてたよ」「もう人の道に反してること。だってもうほんとに全裸にしてグルグルに紐を巻いてオナニーさしてさ。ウンコを食わしたりさ。ウンコ食わした上にバックドロップしたりさ」と、当時のイジメ行為をおどけながら語っている。

 

翌1995年8月にはサブカル系雑誌『クイック・ジャパン』でも、詳細を語っている。(以下記事の内容)段ボール箱とかがあって、そん中に沢田(仮名)を入れて、全部グルグルにガムテープで縛って、空気穴みたいなの開けて(笑)、「おい、沢田、大丈夫か?」とか言うと、「ダイジョブ…」とか言ってんの(笑)そこに黒板消しとかで、「毒ガス攻撃だ!」ってパタパタやって、しばらく放っといたりして、時間経ってくると、何にも反応しなくなったりとかして、「ヤバいね」「どうしようか」とか言って、「じゃ、ここでガムテープだけ外して、部屋の側から見ていよう」って外して見てたら、いきなりバリバリ出てきて、何て言ったのかな…?何かすごく面白いこと言ったんですよ。……超ワケ分かんない、「おかあさーん」とかなんか、そんなこと言ったんですよ(笑)それでみんな大爆笑とかしたりして。

 

これが小中学生時代のイジメである。被害に遭った同級生は決まって障害を持った同級生。高校時代には「掃除ロッカーの中に入れて、ふたを下にして倒すと出られないんですよ。すぐ泣いてうるさいから、みんなでロッカーをガンガン蹴飛ばした」「マットの上からジャンピング・ニーパットやったりとかさー。あれはヤバいよね、きっとね」「(ジャージを脱がせ、下半身を露出させて)女の子とか反応するじゃないですか。だから、みんなわざと脱がしてさ、廊下とか歩かせたりして」等々、耳を疑う鬼畜行為の数々を自慢している。

 

クイック・ジャパンでは、イジメられた複数の元同級生との対談を試みたが、どの家族も応じなかった。母親の1人は「中学時代は正直いって自殺も考えましたよ。でも、親子で話し合って解決していって。ウチの子にもいじめられる個性みたいなものはありましたから。小山田君も元気でやっているみたいだし」と取材に応じたものの、本人との対談は叶わなかったという。

 

記事内容から見ると、取材に応じた25-26歳当時の小山田氏に反省の色は一切なく、むしろ武勇伝として語っている。小山田氏は1989年、中学時代の同級生だった小沢健二(53)氏と「フリッパーズ・ギター」という音楽ユニットでデビューし、シングル「恋とマシンガン」はドラマ主題歌にも採用されて人気を博すが、1991年に突如解散する。ツアー日程が決まっていたため、世間的には「無責任すぎる」として大きな批判を浴びるが、その後小沢氏はソロシンガーとして、小山田氏もソロプロジェクト「コーネリアス」として再デビューし、双方とも音楽性の高さから再び脚光を浴びた。

 

小山田氏は2000年代に入ってからもアルバムリリースや海外ツアーを行うなど、国内外で活躍を続けており今回、白羽の矢が立ったのも、音楽業界での評価が高い証だ。ただ、小山田氏の名前が出る度に、ネット上で当時の記事が蒸し返され炎上を続けた。2001年頃から2006年にかけて、度々2ch掲示板で炎上騒動があり、2012年以降も記事を紹介したブログがツイッターで拡散されるなど、SNSのツールが変わっても拡散は頻発し、小山田氏自身は沈黙を続けてきた。

 

そして今回。あまりの騒動に同氏は7月16日、自身のツイッターで初めて謝罪文を発表した。真摯な反省を示す一方で、記事内容の過ちを仄めかすなど、責任回避を企図する表現も見受けられる。以下に全文を掲載する。

 

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小山田氏の謝罪声明全文

 

この度は、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への私の参加につきまして、多くの方々を大変不快なお気持ちにさせることとなり、誠に申し訳ございません。

 

心よりお詫び申し上げます。

 

ご指摘頂いております通り、過去の雑誌インタビューにおきまして、学生時代のクラスメイトおよび近隣学校の障がいを持つ方々に対する心ない発言や行為を、当時、反省することなく語っていたことは事実であり、非難されることは当然であると真摯に受け止めております。

 

私の発言や行為によって傷付けてしまったクラスメイトやその親御さんには心から申し訳なく、本来は楽しい思い出を作るはずである学校生活において、良い友人にならず、それどころか傷付ける立場になってしまったことに、深い後悔と責任を感じております。

 

学生時代、そしてインタビュー当時の私は、被害者である方々の気持ちを想像することができない、非常に未熟な人間であったと思います。記事の内容につきましては、発売前の原稿確認ができなかったこともあり、事実と異なる内容も多く記載されておりますが、学生当時、私の発言や行為によってクラスメイトを傷付けたことは間違いなく、その自覚もあったため、自己責任であると感じ、誤った内容や誇張への指摘をせず、当時はそのまま静観するという判断に至っておりました。

 

また、そういった過去の言動に対して、自分自身でも長らく罪悪感を抱えていたにも関わらず、これまで自らの言葉で経緯の説明や謝罪をしてこなかったことにつきましても、とても愚かな自己保身であったと思います。

 

それにより、当時のクラスメイトだけでなく、学生時代に辛い体験をされた方々やそのご家族、応援してくださるファンの方々に対しても、不誠実な態度を取り続けることになってしまいました。本当に申し訳ありません。

 

学生当時、私が傷付けてしまったご本人に対しましては、大変今更ではありますが、連絡を取れる手段を探し、受け入れてもらえるのであれば、直接謝罪をしたいと思っております。

 

今回、私が東京2020オリンピック・パラリンピック大会に携わることにつきまして、否定的なご意見を頂くのは尤もであると思います。また、このコロナにおいて、国民の皆様が不安を抱えるなかでの大会開催に関与することへの疑問のご意見も頂戴しております。

 

本来であれば、様々な理由から、私の参加にご不快になられる方がいらっしゃることを考慮し、依頼を辞退すべきだったのかもしれません。しかし、課題も多く困難な状況のなか、開会式を少しでも良いものにしようと奮闘されていらっしゃるクリエイターの方々の覚悟と不安の両方をお伺いし、熟考した結果、自分の音楽が何か少しでもお力になれるのであればという思いから、ご依頼を受けるに至りました。

 

そのうえで、今回の音楽制作にあたりましては、自分なりに精一杯取り組んで参りました。それは、私だけではなく、他のクリエイターの方々も同様であると思います。故に、私の関与により、開会式へ不快な印象を与えてしまうことを心から申し訳なく思います。

 

この度、様々なご指摘を頂いたことで、あらためて、自分自身の在り方について振り返り、反省と再考をさせて頂く機会を得ました。それにつきましては、ご意見をくださった皆様に、感謝すべきことだと感じております。

 

私が傷付けてしまったクラスメイトご本人へはもちろんのこと、長年の私の不誠実な態度により、不信感や不快感を与えてきてしまったファンの皆様や友人たち、関係者の皆様に、心からお詫び申し上げます。

 

一人の人間として、また、音楽家としてどう在るべきか、自分は世の中や周囲の人々に対して、どういったかたちで貢献していくことができるのか、常に自問自答し、より最善の判断をしていけるよう、一層の努力をして参りたいと思います。

 

 

小山田圭吾

 

2021年7月16日

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大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は「小山田さんが例の謝罪をされたというのを私どもも十分、理解した。彼は今、現時点において十分に謝罪をして反省をして、倫理観を持って行動したいと言っている。我々は当初、知らなかったのは事実だが、現時点においては小山田の弁明も伺って、引き続き、このタイミングなので、彼には支えていってもらいたい、貢献してもらいたいと考えている」と担当継続の考えを強調した。

 

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