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【とおる雑言】 スーチー女史の〝私欲〟  寺井 融(アジア母子福祉協会監事)

ミャンマーについて、相変わらず「善悪二分法」がまかり通っている。クーデターを起こし、治安維持のためとはいえ、多数の死亡者を出している国軍が、「悪」とされるのは理解できる。しかし、アウンサンスーチー女史率いるNLD(国民民主連盟)を「善」とするのは、いかがなものか。

そもそも今回の事態は、二〇二〇年総選挙において①有権者名簿等で不正が行われた疑いがある。再調査せよ②その結果が出るまで大統領の選出などを行う国会開会を見合わせるべき、という軍系の政党・USDP(国家団結発展党)らの主張を、NLD政権が退けたことに起因する。

推測するに「不正はない。私たちは公正に選ばれた政権だ」とスーチー女史が突っぱねたのであろう。二〇一五年総選挙ではNLDが「不正」を訴え、それをUSDPのテインセン政権は受け容れ、再調査したと聞く。今回も粛々と再調査に応じればよかったのだ。国会開会だって、調査結果が出てくるまで待てばよい。NLDは政権を握っていたのだから地位は安泰だった筈。

仮に再調査で、NLDからUSDPに議席移動があったとしても、大勢に影響が少なかったであろう、と予測されていた。

否、待てよ。たとえ数議席でも「憲法改正のため四分の三以上の賛成」の要件を満たすため、必要不可欠だったのかな。

そうだとすれば「憲法改正をして大統領になりたい」スーチー女史の〝私欲〟である。〝国家顧問兼外相〟として大統領以上の権限を持つと言われていたのだが……。