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「日本らしい工夫をして歴史的な東京オリンピック開催を」 西村眞悟

五月も下旬に入りつつある現在、マスコミの報道は、連日、ウイルス禍で溢れている。

毎日、午後三時を過ぎる頃には、テレビ画面に「本日判明した、新たな感染者○○○名」というテロップが「緊急情報」の如く流される。まことに、我が国のマスコミ報道は、一昨年の暮れに、中国の武漢で発源したウイルスの感染報道で溢れている。実に、気が滅入る。ウイルス感染の報道をするなと主張するのではない。「病は気から」と言うではないか。国民の気を滅入らせるなと言いたい。毎日、癌で死んだ人の数を、テレビのテロップで流されたらどうする。そこで、数点、指摘しておきたい。

 

先ず第一に、現在進行中の世界各国におけるウイルス禍を、細菌戦における「戦果確認」として観察している国が、中華人民共和国(中共)であることを忘れてはならない。

昨年の春、ウイルスの発源地として非難された中共は、「このウイルスは、アメリカが撒いた」と反論した。これ、まさに先行自白だ。つまり「語るに落ちた」のだ。我が国が経験しているように、中共には、自分がしたことを、他国がしたと主張し非難する癖がある。

このウイルスは、一昨年に中共の武漢で人工的に作られ、世界に感染拡大したものだ。そして、この武漢ウイルスの世界的感染から一年半を経た現在、中共は、中国製ワクチンを道具として細菌戦に臨んでいる段階にある。

今まで見事に武漢ウイルスを防あつしてきた台湾で、五月に入り急激に感染が拡大している。そこで中共は、「広範な台湾同胞が使用を切望している」と表明して、台湾側に中国製ワクチンを提供する用意がある構えを見せた。

つまり、台湾の蔡英文政権が中共に歩み寄れば、中国製ワクチンを台湾に提供すると、ワクチンをちらつかせて揺さぶりをかけているわけだ(産経新聞、五月十九日朝刊)。

 

そこで、この中共から観て、我が国の状況は如何に判定されているのか。冒頭に書いたように、我が国の報道は武漢ウイルスであふれかえり、国民の気が滅入り、武漢ウイルスに忙殺されている菅内閣の支持率は低下している。これを観察して中共は、日本は弱体化している、尖閣諸島を飲み込む好機が迫ってきたとほくそ笑んでいるだろう。

そして、案の上、日本国内に東京オリンピック中止の声が上がってきたことを歓迎しているはずだ。何故なら、日本共産党や立憲民主党そしてリベラル派は、東京オリンピックの中止を訴えても、北京オリンピックの中止は決して訴えない親中分子であるからだ。

 

中国共産党は、かつて、レーニン、次にスターリンが主導したコミンテルンの指令に従い、昭和十二年七月七日から日本を相手に選んで「敗戦革命戦略」を実践して、長期にわたって泥沼化した日中戦争(日華事変)の中から誕生した政権である。

その日中戦争(日華事変)によって、昭和十五年の秋に予定されていた東京オリンピックは中止された。さらに、令和三年に予定されている東京オリンピックが、武漢ウイルス感染拡大の為に中止されれば、中共は、これを細菌戦の大きな戦果と位置づけるであろう。

ここにおいて、つくづく思う。我が国の海を隔てた西には、なんと厄介な疫病神のような国があることよ、と。我が国は、これからは、断固として「新脱亜論」を貫かねばならない。

 

また、本年の東京オリンピックに関して起こった武漢ウイルス禍とは異なる「醜い現象」について記しておきたい。それは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の森喜朗さんが、「女が加わっている会議は長くなる」と発言したことに対する「女性蔑視非難騒動」である。

ある女性集団は、白い上着を着て記者会見し、森喜朗会長発言を非難した。また、別の女性集団は、自民党幹事長に会って女性を多く要職につかせるように要求した。こうなれば、醜い猟官運動である。

その上で、彼らの本質を露わにする事態が次に起こる。それは、国際社会で起こった中共のウイグル人弾圧に対する非難である。特にウイグル民族を絶滅させる為に中共が実施している、若いウイグル人女性に対する避妊手術の強制は断じて許されるものではない。従って、国際社会で、中共で行う予定の冬期北京オリンピック中止の声が上がったのも当然のことであった。しかし、直前に、森喜朗さんを非難していた白い上着を着た人達は、避妊手術を強制されているウイグル女性の救出には全く無関心で、冬期北京オリンピック中止の声も上げなかった。ここにおいて、森喜朗発言に対する非難活動は、如何に軽佻浮薄な醜い現象であったかが明らかになった。

そこで、最後に、東京オリンピックに関する私の考えを記しておく。

東京オリンピックは、開催しなければならない。世界の武漢ウイルス累計感染者数を観れば、我が国の感染者はダントツに少ない。即ち、我が国であるからこそ、オリンピックが安全に開催できるのだ。

我が国では諸外国では普通の「外出禁止令」はなく、プロ野球も大相撲もサッカーもラグビーも、無観客か入場の数制限で行われてきたし、多くの国民もテレビを観て楽しんできた。同じように、オリンピックも大いに工夫すれば、日本らしく安全に開催できる。これが、国の威信を保つことだ。

従って、東京オリンピック中止の声がある今、菅内閣は、早々に「東京オリンピックは必ず開催する」と内外に明言して、人心を明るくする必要がある。