cc「中朝国境の旅」

連載第53回 【中朝国境の旅】  ビラ禁止法 野牧雅子(宮塚コリア研究所研究員)

 令和3年(2021年)4月15日、米国下院議会にて、超党派の「トム・ラントス人権委員会」により、公聴会が開かれた。翌日の4月16日は、日本の菅総理と米国のバイデン大統領の会談があり、日本でのマスコミの扱いはあまり大きくなかった。公聴会の内容は韓国の「対北朝鮮ビラ散布禁止法」(通称ビラ禁止法、以下ビラ禁止法)について。この法律は令和2年(2020年)12月14日、韓国の国会で可決された。(閣議決定は22日)そして、今年3月からいよいよ、ビラ禁止法は施行されている。

 投下が禁止されるのはビラ・チラシの他、金銭やUSBメモリーなど。ビラ投下活動をしている団体が、米を投下しようと、用意していたのを中止したので、おそらく、食品もだめなのであろう。罰則もあり、違反すれば3年以下の懲役または3千万ウォン(約280万円)以下の罰金が科される。けっこう重い刑である。

 

 韓国でビラ禁止法が成立したのには、北朝鮮、とりわけ、金正恩委員長の妹金与正(朝鮮労働党中央委員会)第一副部長(当時)からの恫喝が関わっている。

2020年5月31日、韓国在住の脱北者からなる団体が韓国と北朝鮮の国境付近において、大型風船に取り付けたビラを大量に北朝鮮に飛ばした。このビラに金与正が大激怒し、6月4日(朝鮮中央通信)、6月13日(労働党新聞)と立て続けに声明を発表した。この二つの声明で、与正は、開城工業地区(団地)の撤去、南北連絡事務所の爆破、南北軍事合意(2018年板門店での南北会談で合意)の破棄などを予告し、さらに、韓国に対し、ビラ撒きを禁止する法律でもつくれ、と居丈高に要求していた。

予告通り、16日に南北共同事務所は爆破された。金与正の命令であることは明白であった。そして、その翌17日、「そらどうだ、やってやったぞ」、と言わんばかりに、与正はまたまた、談話を発表した。(朝鮮中央通信)

なお、6月16日とは、6.15(2000年の南北共同宣言)の記念日の次の日。文在寅大統領がコメントを発表した翌日に、北朝鮮はあてつけがましく南北共同事務所を爆発させたのであった。

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