shohyo「書評」

新刊紹介 『冷たい豆満江を渡って 「帰国者」による「脱北」体験記』  梁葉津子著 ハート出版 三浦小太郎(評論家)

 

本書には私が解説を書いているので、公正を記するために、書評ではなく、新刊紹介とさせていただく。他でも何度か書いたことがあるが、日本と朝鮮半島の置ける「歴史問題」において、いまだに未解決、かつ重要な問題は、1959年に始まった北朝鮮帰国運動(帰還事業)をめぐるものである。自由民主主義の国から、共産主義独裁の国に向かって、9万3千人もの人間(在日朝鮮人および彼等と結婚した日本人配偶者、多くは日本人妻)が移動したという事例は、人類史において最初であり、ほぼ確実なことだがこれが最後である。

 

このような事態は様々な要因によって生じたものだが、当時の朝鮮総連が、北朝鮮を「差別のない地上の楽園」として宣伝したことが大きな影響を与え「帰国者」たちの背中を押したことは間違いないだろう。1960年代初頭のこの帰国運動全盛期に、著者の父親は、この宣伝をまともに信じ、著者を含む家族を連れて北朝鮮に旅立った。北朝鮮の地を踏んだとたんに、その宣伝が虚偽とわかり、一家、特に最も帰国を望んでいた父親こそが絶望したことが、本書には痛ましいまでに記されている。

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