yukoku「憂国の風」

【憂国の風】 国体とは何か~三島由紀夫「文化防衛論」について(その1)    玉川博己(三島由紀夫研究会代表幹事)

国体とは、通常、国のありかた、国柄のことを言うが、三島由紀夫「文化防衛論」の中での国体とは、どんなものなのであろうか。

この「国体」という言葉が使われたのは幕末の後期水戸学からで、天皇が日本を統治するということを意味する。そして、天照皇大神(皇祖)の子孫である天皇は天壌無窮の神勅を奉じてこの国を統治し、初代天皇(皇宗)たる神武天皇以来の万世一系の天皇でなくてはならない。

過去において、いろいろな人が天皇論を書いている。そこで、三島由紀夫が文化概念としての天皇論を言い出したわけである。三島由紀夫によれば日本を守るということは、日本文化を守ることである。天皇というのは日本の歴史的連続性、民族的同一性、文化的全体性を象徴する存在であるから、すなわち天皇を守ることが日本文化を守ることになる。この「文化防衛論」を一言でいうと、こういうことなのである。天皇とは文化の象徴であって、日本文化を守るということは天皇を守る。また天皇を守るということは日本の歴史・伝統・文化を守るということと同義である。日本文化を守るとは、国民の生命、財産あるいは自由と民主主義という西欧的な価値や観念を守ることではなく、天皇を守るということなのである。

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