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近代建築シリーズ 『浮雲』を訪ねて 林芙美子記念館     記者 永井由紀子

 

昔、林芙美子という作家がいた。(1903-1951)

女流作家が活躍した昭和の半ば頃、代表作と言える『放浪記』で耳目を集めた作家のひとりである。

 

多くの小説を残しているが、放浪記よりも面白く感じたのが『浮雲』である。

ボルネオを舞台に始まる、どうしようもない煮え切らない男と、それでもその男に惹かれて運命が翻弄される女の話である。『在る女』(有島武郎)の主人公葉子が非業の最後を遂げたように、どうも情熱的な女性のひとつも末路として、合わせ読んでも良いかもしれない。

 

舞台『放浪記』(女優森光子の代表舞台、でんぐり返りで人気を集めた)があまりにも有名となったため、影に隠れがちとなるのが『浮雲』で、個人的にはこちらの方が好きである。映画されており(1955年 東宝 監督・成瀬巳喜男 出演・森雅之、高峰秀子)、監督・出演者共に非常に魅力的だと感じる。

 

激動の人生を送った女性作家で、1938年には内閣情報部「ペン部隊」の一員として武漢作戦に参加、1942年からは同じく陸軍報道部としてボルネオに滞在。それ以前の1933年には共産党へのカンパ疑惑で中野警察署に留置されるなど、時代と共に活動し、それを作品に反映させた女性作家だといえる。

 

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