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【なるほど納得政経塾】-53号- 「因果連鎖の時間軸」      小山和伸(神奈川大学経済学部教授 経済学博士)

政策の時間的視野

 前回に続き、今回もP. ピアソンの『ポリティクス・イン・タイム』に即して、政策と時間の関係について考えてみよう。先ずピアソンは、自然科学的現象について原因の時間的な射程と結果の時間的射程とを、それぞれ短期と長期に分けて分類する。例えば、竜巻のような現象は気流の変化などの短期的な原因で、短期的な結果をもたらす。勿論、竜巻による被害は、長期に亘る復興を必要とするかも知れないが、竜巻自体はせいぜい数時間の短時間で終わる。これに対して、地震の原因は長期間に及ぶ地殻プレートの移動など、その時間的射程は長い。しかし、地震そのものは長くとも数十秒で終わる。無論、人口密集地での地震の影響は大きく、被害によっては復興に何年もかかる。しかし、以下に見るような自然現象に比べれば、その結果の時間的射程は短い。

 次に、巨大隕石の衝突の場合を考えてみよう。これは彗星などの短期的な軌道変化によって起こることがあるが、その影響は地球環境の激変をもたらし、ある種の動植物の絶滅など、その影響は長期に及ぶ。さらに、地球温暖化の問題について考えてみると、その原因は自動車の排気ガスなどによる、持続的かつ累積的な排出CO2の増大・蓄積があり、その影響も海水面の上昇や島嶼部の水没など長期に亘ると考えられる。

 さて、この原因と結果の時間軸に関して、社会学的な現象について考えてみるとどうなるであろうか。例えば、突発的な自然災害やオイルショックなどによる経済的なダメージを一時的に支援する制度などは、原因も結果も短期の射程を持つものと考えられる。一方、戦争や災害などの突発的な原因で生じる移民に対して、移民政策を転換したり、あるいは外圧により鎖国や開国などの政策を取ったりした場合は、原因は短期的な事情で起きたかも知れないが、その政策決定は長期に亘る影響を及ぼす。

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