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【論説】一周回って先取り国家のアメリカ

※イメージ画像

米大統領選は、民主党のジョー・バイデン氏の勝利が確定しつつある。

トランプ政権は2017年1月、典型的な米国白人のワスプ(WASP、White Anglo-Saxon Protestant)、なかでも福音派と呼ばれる人々を中心に支持を得て誕生した。自国第一主義や移民排斥を訴えるトランプ氏の登場は当時、世界を震撼させた。

人種格差や老若男女、LGBTQ、障がいの有無など外見や年齢、性差などの違いを超えて機会均等を実現しようとするダイバーシティー(多様性)の潮流に抗うような価値観を持つ人物に、超大国は未来を託したからだった。

一方、トランプ氏の掲げた政策は、新たなもう一つの潮流だったという見方もできる。大統領選の5か月前、英国ではEU離脱の国民投票が賛成多数で成立した。トルコでは2014年8月にエルドアン大統領が、フィリピンでは2016年6月にドゥテルテ大統領が誕生し、サウジアラビアでは2017年6月にムハンマド皇太子が王位継承者となり、2019年1月にはブラジルでボルソナロ大統領が誕生した。いずれも自国第一主義を強烈に志向する為政者である。

ムハンマド皇太子は国内で女性解放政策を行う反面、トルコ領事館内で体制に批判的な記者を暗殺するなど「多様性」に対する両面性を持つものの、世界は大きく多様性と反多様性に分かれ、それは全体として左傾化と右傾化に分断されていった。トランプ氏の極端な自国第一主義は、右傾化という一方の潮流の最先端だった。

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