cc「中朝国境の旅」
【中朝国境の旅】連載第46 李容洙ハルモニ騒動に見る慰安婦運動について 3 野牧雅子(宮塚コリア研究所研究員)
キリスト教の人達は、キリスト教が誕生した頃から、飢餓、病気などに対する支援活動や、教育活動を布教する活動を各地で展開してきた。だからであろうか。韓国での「民主民族」運動には、キリスト教団体が戦後すぐから関わっていた。特に売春女性に対する更生支援活動には、大変熱心に関わっていた。
別の面から見ると、売春女性達への支援が女性活動の母体であり、活動家の多くはキリスト教会の女性達であった。売春女性支援運動は、ある時点で、挺対協を代表とする、日本軍慰安婦支援運動と結びついた。
それらの運動はやがて、女性主義(フェミニズム)運動として韓国に根付いた。フェミニズム運動とは、国会議員の数を男女同程度にするとか、女性のパイロットも養成するとか、妻も働き夫は家事もするとか、そんな生易しいものではない。フェミニズムとは、世の男女関係や家庭構造を変える、ということなのだ。本校の主題は、韓国においては、フェミニズム運動に北朝鮮の工作活動が加わってきた、ということである。
私が韓国のフェミニズム運動に危機感を持ったのは、日本のフェミニスト達の言説が、中国、北朝鮮、韓国のフェミニストと大変密接に交流し、北朝鮮や中国当局の承認を得なければできないような訪問、捜索、集会活動を展開し、さらに、「女性は被害者」などと決めつて、行政に影響を与えているからであった。まず、女性が被害者、男性が加害者、という観念は、今、日本の行政をも支配しているが、それは、「従軍慰安婦」思想がベースとなっている。実際に、日本では、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(以後、DV防止法)のシステム内での、女性相談、審議会、家庭裁判所、シェルター等で、男性や夫は、「加害者」と呼ばれている。慰安婦運動の思想がもとになっているのだ。なお、DV防止法システムでは、暴言、怖い顔、嫉妬による男性からの女性への質問なども「暴力」に入る。妻が浮気している場面に出くわした夫が、逆上して妻と相手の男を殴っても、裁判所ではDVと認定され、夫は子供に会えなくなる。韓国では、また、「夫婦間強姦」の罪で夫が逮捕された例もある。これらは、慰安婦運動の思想がベースになっている。
女性への暴力の定義では、ぶったり蹴ったりの暴力だけでなく、「売春」も暴力、となっている。本来、「売春」(韓国では「売買春」と言え、とフェミニスト達が主張している。)においては、強制か強制ではないかが問題であるはずで、暴力かどうかの問題ではない。
日本では、このような非常識かつ、狭量なる考え方をフェミニスト達が行政や世論に押し付けるのだ。また、日本のフェミニスト運動は韓国のフェミニスト運動と強く連携しており、私は、一五年ほど前、フェミニズム運動の一分野である、性教育の調査をしている時、日本のフェミニズムが随分と韓国に影響を与えている、と考えていた。
しかし、数年ほど前から、日本のフェミニズム運動は、韓国、北朝鮮、そして、もしかしたら、中国の工作なのかもしれない、と考えるようになった。日本と韓国のフェミニズム運動ははお互いに影響を与え合い、情報を交換しているが、どちらかというと、韓国からの影響が強いのではないか、というのが、今の私の漠然とした感想である。なぜならば、キリスト教団体の女性達が戦後すぐ、売春問題に取り組み、その時、すでに、「民族民主」運動を広める、という使命を彼女達が担っていたからである。また、挺対協が活躍した前後から、韓国の女性運動は政治的発言権を日本よりも強く、国内で持ち始めたことに気付いたからでもある。韓国の女性運動でも、売春において、女性は被害者、男性は加害者とされている。
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