minsha 「とおる雑言」

【とおる雑言】 〝発熱外来〟向けタクシーを    寺井 融(アジア母子福祉協会監事)

三十八度五分の熱を出す。市販の風邪薬を服用した。翌日、平熱に戻る。薬をやめたら、今度は三十七度九分の熱。「すぐ、検査を受けてね、うちには九十五歳のお母さんがいるのよ」と妻。私は、新型コロナにかかっても撃退するさ、と簡単に考えていても、〝実母殺し〟や〝妻殺し〟となっても困る。   

探すと、町内に〝発熱外来〟があった。

 ところが、わが家とは三㌔離れている。公共交通機関に乗るわけには行かない。自動車免許を取っていない。車も持っていない。

歩く? 遠い。それでは、自転車で行く? 微熱の身には、途中の坂道が厄介である。

 タクシー会社に電話をかけた。病院名を告げたとたん、「あそこには行けません」と断られる。二社目はOKだった。地獄に仏。 

問題は帰りである。何社か、配車を依頼したが「食事に行っています」とか、「全車とも出払っておりまして」と断られる。歩いて帰るか? 歩き出して数分、ラッキーなことに駅に戻るタクシーを発見。乗せてもらう。タクシー代は往復で五千三百円。病院代は国保前期高齢者で、肺のCT検査も含めて四千二百円。薬代が五百九十円でした。

 それよりも、辛かったのは「検査結果は、翌々日の御前中までに『陽性』の方のみ、電話でお知らせします」と言われたこと。日頃、めったにかからないはずの電話が、そんなときだけ、やけにかかってくるんですな。冷や汗ものです。結局、陰性と認定される。

 三割増しでも、〝発熱外来〟診察用タクシーはできないか。無免許者は助かるのだ。