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【ストップ・ザ・左翼政局】  敵は財務省にありー 予算修正を攻撃した左翼野党の無節操 ‼  鳥居徹夫(元 文部科学大臣秘書官) 

🔶 一律10万円給付盛り込みの修正補正予算が成立 

武漢ウイルスの感染拡大により、国内外とも経済活動がストップした。

感染拡大防止のため多くの国から入国制限しており、航空機も欠航が相次ぎ、国内の旅行客も落ち込み、観光業、宿泊業、飲食業等に大打撃を与え、また新規学卒者の就職内定の取り消しも起きている。

 緊急事態宣言が出された4月7日、政府は緊急経済対策を閣議決定した。

ところが緊急経済対策に関わる補正予算案は、さらに追加施策が必要でとして、国民一人当たり一律10万円給付を盛り込んだ大幅組み換えが行われ、ようやく4月27日に国会に提出され30日に成立し、5月からの施行にギリギリ間に合わせた。

当初の事業規模は、108兆円と財務省は宣伝した。これは108兆円という数字は、ドル換算で1兆ドルとなり、GDPの2割の規模と言う数字であり、財政出動を大きく見せようとした財務省の偽装工作に他ならない。

これには以前から決定している「税金や社会保険料の支払い猶予(約26兆円)」や「台風19号など自然災害の復旧(約20兆円)」も含まれており、まさしく見かけ倒しなのである。

ちなみに当初の一般会計の歳出は16.5兆円に過ぎなかった。

補正予算案の組み換えにより最終的には、一般会計の歳出が25.7兆億円で当初より約8.8兆円増、財政規模は117兆円となった。

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当初の経済対策にあった30万円支給の生活支援臨時給付金は、収入激減など要件を満たした世帯にするというもので、対象は全国5300万世帯のうち、わずか2割の1300万世帯。しかも世帯対象であり、線引きや手続き面など問題が多かった。

そこで、30万円給付は補正予算の組み換えでなくなり、一律10万円給付にかわった。というより再浮上したというのが真相であろう。

安倍首相は3月28日の記者会見で、家計への生活支援策として現金給付に言及し「思い切った額を考えていきたい」と強調していた。

公明党も、全国民に10万円の給付を求め、自民党内でも「日本の未来を考える勉強会」や「女性議員活躍議連」なども求めていた。

ところが4月7日の緊急経済対策には盛り込まれなかった。それは財務省が、猛抵抗したからであった。

 

 

🔶 急浮上した一律給付、予算書き換えに抵抗の財務省 

閣議決定後の4月14日に、自民党の二階俊博幹事長は安倍首相に申し入れた。「10万円給付を求めるなど切実な声がある。党としても政府に強力に申し入れ、責任を果たしたい」と強調した。

公明党も、4月15日に山口那津男代表が、10万円給付を要請した。

一律10万円給付が再浮上してから、緊急経済対策の補正予算(含む30万円給付)の成立後に、新たに一律10万円給付の追加補正という自民党執行部と、当初の補正予算案を追加修正(含む30万円給付の削除)して国会に提出すべしという公明党と主張が分かれた。

結局、公明党や自民党の若手・女性議員の主張が通り、国民1人当たり一律10万円の給付に急遽切り替えた。しかも所得制限なしである。そして減収世帯への30万円支給は撤回となった。

つまり一度は閣議決定された補正予算案が、大幅な組み替えとなって成立した。

政府提出の予算案を、国会審議中で採決前に自ら修正したのは、福田赳夫内閣の一度だけであった。

1977(昭和52)年に、石油ショック後の不況のりきりのため国債の増発と減税を盛り込んだことがあった。

補正予算案は、そもそも財務省が編成主体で実務作業をし、閣議決定したものである。その予算案にケチをつけられ、書き換えるようなことがあっては、財務省のメンツにかかわる。

この財務省の尻馬にのって政権与党を攻撃していたのが、左翼野党であった。

安倍晋三首相が一律10万円の現金給付に向け、2020年度補正予算案の組み換ええを指示したことについて、主要野党は16日、「首相の場当たり的な対応」「総辞職に値する」などと一斉に批判した。

立憲民主党の枝野幸男代表はツイッターで、予算案組み替えを「前代未聞の事態」と非難し、また国民民主党の玉木雄一郎代表も「空前絶後だ」と批判した。共産党の小池晃書記局長は会見で「政権のガバナンス欠如は目を覆うばかり」「内閣総辞職に値する」と攻撃した。

 

 

🔶 政権弱体化で一致する野党と財務省 

財務省が、一律の現金給付に抵抗した。財政規律が歪むとか、国債残高がとめどもなく拡大するとの理由で危機感を強めた。そして国会議員に「ご注進ご説明」と、個別撃破を図った。

また消費税の引き下げとか、全商品を対象に軽減税率をゼロにせよとの主張に対しても、財務省や与野党の幹部は「苦労して税率を上げたのに、下げるとなるとまた上げるのは至難だ」「引き下げるにしても作業に時間がかかる」などと、消費税率10%を死守しようとしていた。

民主党政権で財務大臣だった藤井裕久は「予算編成権は財務省にある」と公言した。ところが憲法には、内閣の職務として「予算を作成して国会に提出する」(73条)と明記されている。

統帥権の独立ではないが、「省あって国なし」が財務省である。

あの民主党政権の際も後半は、財務省のパペット(操り人形)というか「パーなペット」に堕し、緊縮財政下の増税路線でデフレを深刻化させた。

労働団体の連合組合員にとって「地獄絵のような民主党政権」であったといっても過言ではなかった。

日本の場合、国債を増発しても国内で消化する。国債を外国が購入しているわけではないので、ギリシアのように取り付け騒ぎとかパニックにはならない。

財務省は、国債残高が増えると長期金利が上がりインフレになると、メディアに訴えてきた。ところがマイナス金利である。

ハイパーインフレどころか、毎年2%の物価目標も達成していない。まだまだ国債を発行できるし日銀券を印刷すれば、国民生活の救済に当てることができる。

そもそも財務省の言いなりならば、日本経済も国民生活も沈没する。

緊急経済対策が閣議決定した直後に、国民一律の10万円給付が急浮上となった。

それは自民・公明の与党議員の危機感であり、財務省に追随すれば次期選挙で大打撃を受けるとことは目に見えていた。

そもそも閣議決定した予算案に対し、追加や修正が必要と言えば「欠陥予算案」と難癖をつけるのが、これまでの野党やメディアである。

財務省にとって、政権が安定していることは困るのである。

官邸が弱体化し政府与党がバラバラであることが財務省に望ましい。

つまり政権の足を引っ張ることにおいて、野党と財務省は一致しているのである。(敬称略)