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【書評】 体験と提案 とおる政治覚書 寺井融著(桜町書院・1300円+税)

地味な書だが、内容は濃い。

細川政権の崩壊時、大内啓伍民社党委員長(当時、厚生大臣)を首班として、新生・日新・さきがけ・民社を中核に自民も巻き込んだ中道・保守政権を策したが、肝腎の大内本人から「十五やそこらの小党では、政権を担うことができないんだよ」と諭されたとか、森田健作千葉県知事の政界進出、参院選の際、PKO賛成の彼の主張を守ったなど、エピソードが盛りだくさん。

筆者は、民社党本部の幹部職員。新進党結党の裏方責任者も務めた。江田五月、鳩山邦夫、小池百合子らの部下でもある。新進党が〝住専問題〟で国会内ピケをはった。「議会制民主主義に反する」と辞表を提出したという。

その後、西村眞悟衆院議員の政策秘書に転じ、さらに「産経新聞」記者や二つの大学での非常勤講師も務めている。ユニークな経歴の持ち主だ。

それらの「体験」記は充分に面白い。

そうではあるが、圧巻は第Ⅲ部の「とおる提案」である。「僕の『車中八策』」と称し、「国柄堅持、強靭国土、国防強化、成長発展、原発稼働、福祉充実、文化発信、憲法改正」を主張している。特に、憲法の項が参考になる。

とは言え、硬い本では決してない。スイスイと読めて、楽しめる。

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