shohyo「書評」

映画「コミック雑誌なんかいらない」は、俳優内田裕也の最高傑作 三浦小太郎(評論家)

内田裕也が亡くなった。彼のことを「樹木希林の夫」や、「都知事選挙での政見放送でロックを歌った人」下手をすると「少し危ないロック界の老人」としか思っていない人々に、ぜひ見てほしい映画がある・1986年に公開された「コミック雑誌なんかいらない」である。監督・滝田洋二郎。それまではピンク映画の監督をしてきた彼の初めての一般映画作品であり、後に「おくりびと」で花開く才能のはじまりでもある。
 
内田裕也が演じるのはテレビの芸能レポーター「キナメリ」。彼のマンションには同時に全曲を見るために何台ものテレビが置かれ、機械的にそれを見ながら、ビタミン剤をパンにはさんで朝食としている寒々としたシーンが、彼の周囲の空虚さを見事に表現しており、黒澤明の「生きる」における役所の風景すら思い起こさせる。

記事の続きは有料会員制サービスとなります。

2023年3月より新規会員は新サイトで募集しています。
こちらでご覧ください。

Yamatopress Web News

やまと新聞は日本人による日本のための新聞社です。
会費は月額350円(税込)です。全ての記事・コラムがご覧いただけます。

会員の方はこちら