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【論説】ネガティブな意見多いが…覆せ大阪万博

※1970年の大阪万博の象徴となった太陽の塔。現在、吹田市の万博記念公園に置かれているが、再び万博の顔になる可能性も

 
大阪府が立候補していた2025年国際博覧会(万博)の開催地を決める投票が11月23日(日本時間24日未明)、パリの博覧会国際事務局(BIE)総会で行われ、ロシア(エカテリンブルク)、アゼルバイジャン(バクー)を抑えて大阪府に決まった。
 
大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)を会場とし、開催期間は25年5月3日―11月3日の185日間。国内では05年の愛知以来。大阪では1970年以来55年ぶり。万博誘致委員会事務局によると、150か国・地域を含む166機関の参加と来場者2,800万人、経済波及効果2兆円を見込む。
 
東京五輪後の景気刺激策として、国も経済産業省を所管に肩入れしており、世耕弘成経済産業相もパリで行われた最終プレゼンテーションに自ら登壇し、大阪の魅力を訴えた。
 
東京五輪が当選した際は、その後喜びから一転し、開催費用やロゴデザインの盗作、炎天下での競技、各競技組織のパワハラ、ボランティア重労働など様々な問題が噴出し、「誘致すべきでなかった」との声も聞こえるようになった。大阪万博も当選直後から「既に万博はオワコン」「経済衰退にトドメ刺す」など否定的な意見も数多い。
 
一方で、夢洲での開催に光明を見出す意見もある。現在はアクセスも不便で整備費に見合う活用が見られないエリアで、臨海副都心として繁栄する前の東京・お台場に似ている。大阪府・市は万博前年の24年に、カジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を目指しており、アクセスや衣食住などのコンテンツが揃えば「大阪のお台場」に生まれ変わる可能性を秘めている。
 
2005年に開催された愛知万博は、半年間で2204万人が動員され、1.6兆円の経済効果があったとされる。愛知万博も開催前は不安視されていたが、地元のトヨタ自動車が総力を挙げて最新技術を紹介し、期待を上回る盛況を博した。
 
大阪万博にも、資金と技術、動員力のために世界をリードする企業のバックアップが欠かせない。否定的な意見を覆す日本の底力を見せるために、国を挙げた準備に期待がかかる。