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真相分からずうやむやで終わり?「真珠湾を忘れない」発言の真相

 
最近、何が真実なのかさっぱり分からないニュースが垂れ流しになっていることが多い。
 
トランプ米大統領が6月の日米首脳会談で、安倍首相に対し「リメンバー・パールハーバー」と述べて、対日貿易赤字の改善を求めたと米ワシントン・ポスト紙が8月28日に伝えた。北朝鮮問題についても、安倍首相が慎重な対応を求めたのに対し、トランプ氏は無視したという。
 
ところが報道の翌日、菅義偉官房長官は「ご指摘のような事実はない」と否定し、安倍首相も9月1日の産経新聞とのインタビューで「全くの誤報だ」と否定したという。
 
9月4日の報道では、真珠湾の言及自体は存在したものの、日時も状況もでたらめだったという。4月18日に、米南部フロリダ州で両者がゴルフを開始する際、「日本は、米国をたたきのめすこともある強い国じゃないか」とジョークを述べる中で、日本を称賛する文脈の中で「リメンバー・パールハーバー」の言葉が出たと、政府高官が明かしたという。政府高官は内閣官房副長官を指すことが一般的であるため、官邸の意を受けた人物が、政府首脳のリークとはならない形で事の真相を明かしたのかもしれない。
 
さらに安心する情報が麻生太郎財務相からも飛び出した。9月4日の講演で、トランプ氏が次回の日米首脳会談でゴルフをしようと安倍首相を誘っているというのだ。麻生氏いわく、「フロリダに来なくていい。ニュージャージーに自分のゴルフ場があるから、ゴルフをやろう」と語ったという。
 
やっぱりドナルド・シンゾーの関係は盤石だった。
 
そう思って安心していると、今度はトランプ氏が7日に「(日本は)貿易問題でオバマ政権と話そうとしなかった。報復されることもないし、自国は弱いから誰も何もしてこないと思っていたからだ。相手が私になり、ディール(取引)がまとまらなければ大変なことになる、とわかっている」と発言したという。朝日新聞の記事(9日付)なので、虚報か、和訳にバイアスをかけている可能性が高いが、日本に対してプレッシャーをかけようとする意図は伺える。
 
では、6月のリメンバー・パールハーバー発言も嘘ではなかったのか。北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が9月9日に行った建国70年軍事パレードでICBMを誇示しなかったことに対し、トランプ氏は「サンキュー」と伝えるなど、安倍首相とは対北外交でも温度差が目立つ。
 
大統領自身が都合の悪い報道をフェイクニュースと決めつけることで、モラルハザードが起きている。真反対のニュースが流れても、我々は何が真実なのかうやむやな状態で放置されモヤモヤ感だけが残る。真実の中にいくつかの真実でない虚報を潜り込ませる報道機関があるおかげで、我々は玉石混交のサブプライム商品のように、疑わしい記事は最終的に価値のないネタとして話半分で留めおき、マスコミへの信頼感を目減りさせて本人のコメントを待つほかない。その本人も嘘つきだから、結局のところ、疑心暗鬼と陰謀論が跋扈する。