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【論説】永田町に蔓延る口利きブローカー

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文部科学省幹部による贈収賄事件は、医療コンサル会社元役員の谷口浩司容疑者(47)が、企業と官僚の橋渡し役として中心的役割を果たしてきた。
 
報道によると、谷口容疑者は数年前から閣僚経験のある旧民主党系参院議員の「政策顧問」の肩書で活動していたらしい。政治家の口利きや贈収賄事件は、間に秘書が介在するケースが多いが、議員事務所の中には谷口容疑者のような「何だかよく分からない肩書」の秘書もどきや私設秘書の肩書だけもらって政治家との口利き窓口になっている人物も少なくない。
 
官僚は、議員事務所から所管の法律や施策について説明を求められると、資料を用意して説明へ赴く。官僚との人脈作りをしたい口利きブローカー(仲介者)にとって、議員事務所は許認可権限を握る官僚と名刺交換できる垂涎の宿り木と言える。
 
議員側は、ブローカーを取り込むことで、政治献金を受けたり、政治・選挙活動における人員協力を求めたりできる。中選挙区制が廃止される1994年以前には、20人以上の私設秘書を抱えて、広い選挙区を人海戦術で基盤固めに利用していた事務所も多い。雇われた私設秘書の中には怪しい肩書も多かったというが、彼らは無給で手伝う代わりに、議員の名前を冠した名刺を自由に配れるメリットがあったのである。
 
私(記者)が以前仕えていた議員事務所にも、大した用事もないのに週に一度は電話してくる議員の知り合いがいた。議員との信頼関係は厚く、ある日、議員の私設秘書の肩書を記した自身の名刺を持参し、「先生から名前だけ借りる許可を頂いたので、今後共よろしく」とその名刺を渡された。
 
勝手な名義使用に戸惑い議員に確認すると、確かに許可したと言う。議員が許可したのなら仕方がない。とくに注意するでもなく放っておくと、その日以来頻繁に事務所を出入りするようになり、「先生に紹介したい有力者がいるんです」などと怪しげな人物を次から次へと事務所に招き、省庁の基幹システムなど様々なテーマで次から次にブリーフィングの依頼を受けて、泡を食った思い出がある。
 
権力は闇夜を照らす外灯に似ている。様々な害虫が明かりに群がっては甘い樹液を嗅ぎ回る。永田町には、衆院465・参院242議席分の明かりがあり、今回の事件は氷山の一角に過ぎないと指摘する声もある。