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【論説】国会議員は閉会中何をしているのか

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第196通常国会が7月22日に終わり、国会周辺は静けさを取り戻している。国会議員は閉会中、何をしているのだろうか。
 
会期中、国会議員は議案の採決を行う本会議だけではなく、各議員に割り当てられた委員会に出席し、関連議案を審議する。各委員会は必要に応じて会期中以外にも審査を行う。閉会中に行われる審査や調査を、衆議院では「閉会中審査」、参議院では「継続審査」と呼んでいる。
 
閉会中審査の一環で、何人かの委員を選出し公費で海外視察をする委員会もある。また、個人や政党・会派もしくは議員連盟で議員団を結成し、私費や党費で海外視察をする議員もいる。国際会議出席や要人との意見交換、重要施設の見学など、目的や訪問先は様々だ。閣僚の場合、会期中に海外ばかり行くと「国会軽視だ」との批判を招きかねないので、閉会中を利用して外交日程を詰め込むこともある。
 
夏休みを兼ねて個人的に海外に赴く議員もいる。公人である議員は常に緊張を強いられる立場。どこで週刊誌に狙われているかも分からない国内にいるより、海外で羽根を伸ばす方が気持ちも安らぐかもしれない。しかし最近は、不倫相手が逢瀬の写真を持ち込んでスキャンダルに発展することもあるので、どこにいようとも国民の代表であることを忘れないでほしいものだ。
 
では、国内にいる議員は何をしているのか。
 
多くの議員は地元に帰って国政報告会を行う。本会議や委員会で何を質問したのか、どんな法案を提出したのか、自らの政治活動によってどんな反響があったのか、そして今後の活動予定などを説明する。
 
今の時期は夏祭りが、9・10月になると収穫祭が、全国各地で行われる。有権者にアピールできる絶好の機会であり、政治家は選挙区の各地地域イベントに馳せ参じる。難しい国政報告よりもお祭りムードの中で有権者とにこやかに接する方が共感を得られることを議員はよく心得ている。
 
有権者の思いや要望を聞き、それを政策に反映させることも政治家の大切な仕事だ。全国各地でミニ集会やタウンミーティングを開催し、1人ひとりの意見を聞いて、時には現状の説明を行いながら、自らの政治的立場を構築する。選挙区外であっても、有権者と対話することで党の比例票獲得につながる。
 
政策の勉強も怠れない。地元への政治活動をしながら、国会図書館や省庁から取り寄せた資料をもとに政策の勉強をしたり、政党や会派・派閥・議連が開催する勉強会に出席したり、政策研究の合宿をしたりして、最新情報を常に頭に入れておく必要がある。新聞や週刊誌のチェックも欠かせない。
 
有権者から質問されて答えられない政治家は支持も失う。様々な話題にアンテナを張り、カップ麺の価格からヒッグス粒子の性質まで、どんな質問にも対応できれば「おらが町の先生はさすが博識だ」と地元の評判にもなる。
 
一方で、会期中でも議員会館の事務室が閉まりっぱなしという議員もいる。本会議の時だけ出席し、普段は動向が杳として知れないまま、政局と選挙運動のときだけ一生懸命になる議員もいるので、有権者も議員の本質を見極める眼力が問われる。