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【論説】タトゥーを入れるとサッカーが下手になる?

ネイマールとメッシ(各インスタグラムより)

 
タトゥーが多い――この数年、海外サッカー選手を見ていて気になっていたことだが、今回のワールドカップ・ロシア大会でリオメル・メッシやネイマールといった選手が映る度に、全身を網羅する墨を見ていて、やっぱり多いなと。
 
反社会的勢力のイメージが強い日本人の忌避感情に乗っかって否定するつもりは毛頭ないのだが、どうもタトゥーを入れた選手から順に、本来の実力を発揮できぬまま敗れ去る傾向が強いように思える。タトゥーの代わりに全身を筋肉で武装したクリスティアーノ・ロナウドも準々決勝で敗退したが、初戦のハットトリックを含む4得点を挙げ、実力は十分に出し切った感がある。
 
対して、メッシやネイマールはその速さや技巧が期待されたほど発揮できぬまま、前回ブラジル大会と同様に敗退した。ネイマールはタトゥーが目立ち始めた頃から、相手を抜き去るよりも倒された振りをするシミュレーションに傾倒するようになった。今大会では、その過剰演技が悪質を通り越して滑稽すぎるとして、転げ回る姿を真似する“ネイマールチャレンジ”が世界中で流行している。
 
タトゥーを入れる目的として、恋人や家族の名前・記念日を彫ったり座右の銘を刻んだりして自身を鼓舞するケースや、威嚇または個性を強調するファッションアイテムとして利用するケースが一般的だ。
 
精神的にポジティブになれる要素はあるかもしれないが、肉体的にはネガティブな報告が出ている。ドイツ体育大学のインゴ・フロベーゼ教授は、ドイツ紙などを通じてタトゥー禁止を訴えている。タトゥーに使うインクの半分以上が血管にまで達し、血液循環に悪影響をもたらすとの研究結果があるほか、タトゥーによる色素の変化や皮膚の損傷により発汗、体温調節機能を低下させるリスクがあるという。
 
ヨーロッパのサッカーチームには、外見上望ましくないとの理由で禁止しているチームがある。外見のみならず運動機能の面でもマイナスだとすれば、メッシやネイマールに憧れる少年たちもタトゥーだけは見習わない方が良さそうだ。