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《ストップ・ザ・左翼政局》    連合主張も取り入れた「働き方改革法案」 ―徹底抗戦の立憲民主党の異様性   元文部科学大臣秘書官  鳥居徹夫

🔶働き方改革法案が成立、野党の国会欠席戦術を連合なども批判 
 
今国会の焦点であった「働き方改革法案」は、6月29日にようやく成立した。
この法案は時間外労働の上限規制を、罰則つきで設けたことは、戦後の労働基準法制定以来の71年目の大改革となる。
この法案に対し(維新を除く)野党は、高度プロフェッショナル(専門職)に労働時間適用の除外が法案に盛り込まれていることを理由に反対に終始した。
この「働き方改革法案」が審議入りしたのは4月27日でしたが、野党6党(立憲、民進、希望、共産、社民、自由=当時)の国会審議拒否は4月20日から続いたまま。
 
野党6党は、財務省事務次官のセクハラ疑惑や、財務省理財局の決裁文書の改ざんなどを理由に、審議拒否などで国会を混乱させ、財務省事務次官の辞任後も、「麻生太郎財務大臣が辞任するまでは審議を拒否する」としていた。
この(維新を除く)野党が国会欠席(審議拒否)する中、4月24日に開かれた衆院厚生労働委員会に参考人として出席した大阪市の吉村洋文市長は「なぜ、維新以外の野党の国会議員がいないのか?」「不祥事追及は大切だが重要な法案審議は別の話で、出席拒否は職務放棄」などと批判した。
さらには労働団体の連合なども野党の国会欠席戦術を批判され、「大型連休(ゴールデンウィーク)は最大9日間なのに、野党議員は18連休」との批判もされた。
 
この1年6カ月間、野党はモリ、カケ、ニッポーと叫ぶだけで、週刊誌の発信情報による政府高官のスキャンダルまで国会の場に持ち込み、政府攻撃に終始した。
そして働き方改革関連法案は、野党側に割り当てられた質問時間が経過したので採決にうつる。ところが野党側は採決をさせないため、厚生労働委員長解任決議案(辻元清美ほか6名提出)、それが否決されると加藤厚生労働大臣不信任案提出と、徹底的に抗戦し採決を妨害した。
厚生労働委員長解任を求める理由に「委員長の職権で委員会を相次いで開いた」とあったが、そもそも野党が18連休をとって質疑を放棄したからである。
さらには野党支持者からも「大型連休は最大9日間なのに、野党議員は18連休」との批判もされた。
野党の審議拒否戦術が大失敗に終わり、国民の批判は野党に向かった。
 
🔶立憲民主党の異様ぶりが浮き彫り。国民民主党と温度差も。 
 
昨年秋の総選挙後の民進党が、希望の党、立憲民主党、無所属の会、参議院民進党と枝わかれしていたが、5月に国民民主党が誕生したことにより、民進系は立憲民主党と国民民主党の流れに収斂した。
 
立憲民主党は、衆議院では野党第1党で、衆議院では主導的に徹底反対を主導したが、参議院では野党第2党である。
参議院の会派構成は、第一会派が自民党126名、第2会派が公明党25名となった。国民民主党は24名で第3会派、立憲民主党が23名で第4会派である。
立憲民主党は野党第2会派にもかかわらず6月28日に、参院厚生労働委員会の島村大委員長(自民党)の解任決議案を提出し、他野党の同調を求めた。
立憲民主党の蓮舫参院幹事長は「中立公正な委員長の動きとして不適切」とアピールした。
 
国会では、常任委員会ごとに与野党の筆頭理事が、委員会進行の打ち合わせを行うが、野党は筆頭理事懇の前にヤリコン(野党理事の懇談のこと)を行う。
ところが国民民主党は、同法案の審議時間は衆院での審議時間を上回り、委員長職権での委員会開催もなく比較的円満に進んできた。
国民民主党の舟山康江参院国対委員長は「法案が気に入らないから問責などを出すという対応はとるつもりはない」と強調した。
 
さらに大塚耕平共同代表は6月28日の記者会見で、「委員長の委員会運営に解任に当たるだけの瑕疵は感じられない」と、解任決議案の提出に反対し、立憲民主党の異様ぶりが浮き彫りにされた。
 
🔶連合の主張も取り入れた働き方改革法案 
 
働き方改革法案作成に向け労働政策審議会に提起された「法案要綱」には、①罰則付き長時間労働の規制、➁同一賃金・同一労働、③裁量労働制の導入、④高度プロフェッショナル制度の創設、などが盛り込まれていました。
その中で政府が提出した法案には、③の裁量労働制については全面削除され、④の高度の専門性を有する高度プロフェッショナル制度についても厳格な運用が規定された。
 
④の高度プロフェッショナル制度について、野党は「過労死促進になる」と法案から削除を求めていた。
高度プロフェッショナル制度については、運用の厳格化で何より本人が制度を理解して、個々に書面等により同意していることとしている。つまり本人の同意がなければ制度は適用できなくなった。
さらに法案審議の中で、労使による合意や本人の同意を適用する条件とし、予想に反して過重な労働を強いられた場合は、従前の労働条件に戻れることとする、などの法案修正がなされた。
 
何よりも「同一賃金・同一労働」と「時間外労働の上限を、原則として月45時間かつ年360時間と明示し罰則規定をことは、労働基準法70年余の歴史上で画期的として、連合は評価していた。
 
はじめに反対ありきの抵抗戦術では「タライの水ととともに、赤ん坊まで流してしまう」ことになってしまう。
この法案に対し(維新を除く)野党は、高度専門職の労働時間について適用除外があることを理由に、過労死促進法案などと事実を歪め、反対のための反対に終始した。
この法律の施行で過労死・過労自殺が激減する結果となったら、これら野党はどう弁明するのであろうか。
労働団体の連合は、労働政策審議会に出された当初の要綱に連合主張が多く盛り込まれており、裁量労働制が削除されたこともあって、反対するのは高度プロフェッショナル制度だけである。