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《ストップ・ザ・左翼政局》   再編の民進党系政党、先祖返りの主導権争い   フリーライター・元文部科学大臣秘書官  鳥居徹夫

《ストップ・ザ・左翼政局》
 
再編の民進党系政党、先祖返りの主導権争い
 
フリーライター・元文部科学大臣秘書官  鳥居徹夫

 
🔶民進・希望が合流したが、野党第一党になれず 
 
 民進党と希望の党が合流し、その政党名が「国民民主党」となることを決定した。すでに綱領や基本政策についても合意し、5月上旬の新党発足を目指す。
この新党構想は、民進党の大塚耕平代表が、総選挙で枝分かれした同党出身者の再結集を呼びかけたもの。
この新党への参加呼びかけについて、希望の党は応じたが立憲民主党は拒否した。
この新党「国民民主党」は、5月上旬の結成を目指し、結党直後は大塚耕平、玉木雄一郎両代表が暫定的な「共同代表」を務め、また新党の代表選を9月に実施する方向で調整に入った。
 
 総選挙前の民進党は、ようやく野党第一党の立憲民主党と、合同した「国民民主党」とに収斂されることになった。
民進党は、衆議院の「無所属の会」の民進党籍のある議員も合わせると53議員(衆院14人、参院39人)。それに希望54(衆院51人、参院3人)の全員が新党に合流すれば、衆参両院で立憲65(衆院56人、参院7人)を上回る。(4月末現在)
 
 しかし希望の党には、発足時のチャーターメンバーである松沢成文らが分党の手続きに入り「希望の党」の政党名を継承した。
残りの民進党出身者などが「国民党」を結成したあと新党「国民民主党」に合流した。また民進党も、新党に参加しない議員も参議院を中心に多い。
新党を拒否した民進党議員が離党し、立憲民主党と同一会派となれば、これまで野党第一党だった民進党の議席よりも少なくなり、参議院でも新党「国民民主党」は野党第二会派となる。
 
 とくに希望の党の大串博志グループや、民進党籍のある「無所属の会」の野田佳彦、岡田克也、安住淳などの長老は新党に参加せず様子見をつづける模様である。
これら重鎮議員たちはプライドが高く、枝野幸男や玉木雄一郎、大塚耕平らを、小僧っ子扱いする。
これら重鎮議員たちは、その後に立憲民主党と新党「国民民主党」が合流する展開があるとすれば、自分たちの出番と思っているようである。
民進党(53人)と希望の党(54人)のうち新党参加が確実なのは50人に満たない。つまり「1+1」が「1以下」になる。
立憲民主党は地方でも、北海道、埼玉、東京、神奈川、大阪などで、民進党の地方議員を引き抜いている。
 
🔶合流した「国民民主党」は、平和・安保法制にも憲法改正にも反対 
 
 民進党と希望の党は、新党となる「国民民主党」の基本政策と綱領についても合意した。
基本政策では、平和・安全保障法制について「違憲と指摘される部分を白紙撤回することを含め、必要な見直し」と盛り込んだ。憲法改正に関しても、9条への自衛隊の明記に反対する方針を示した。
 
 希望の党は、昨年秋の衆院選公約で「与野党の不毛な対立から脱却する」とし、安保関連法を是認し、また憲法9条の改正論議を進める立場も取っていた。これら総選挙での希望の党の主張は、保守票の獲得を狙ったアピールに過ぎなかった。
東京都の小池百合子知事は4月25日の記者会見で、自身が立ち上げ特別顧問を務める「希望の党」が、民進党とともに新党「国民民主党」となることについて、「元のさやに収まるのは多くの方には理解が難しいと思う。こんな形になるのはとても残念だ」と述べた。
もちろん小池知事は新党には参加しない。
希望の党は、左翼バネが幅を利かせ「ニワトリがアヒルになった」。民進党廃棄物によって先祖返りしている。
 

◇        ◇

 
 野党勢力は、立憲民主党を軸に共産党などと幅広く連携する「野党共闘」派と、民進・希望による「国民民主党」に分かれたままとなっている。
新党「国民民主党」は、将来的には野党第1党の立憲民主党を含めた再結集を目指したいところ。
ところが立憲民主党は、左翼諸団体との連携を強め、野党共闘路線を維持する方針と伝えられる。
来年夏の参院選を前に路線対立が再燃するのではないだろうか。
 
 枝分かれ前の民進党綱領(2016.03.27)は、「生活者、納税者、消費者、働く者の立場に立つ」「国民とともに進む改革政党」とあったが、新党「国民民主党」の綱領で消えた。もちろん立憲民主党にこの字句はない。
これらの理念が綱領から蒸発した国民民主党、立憲民主党では、労働団体の「連合」がドン引きする。
実際、連合の中央メーデー(4月28日)には、政党代表が呼ばれず挨拶をさせなかった。挨拶したのは加藤勝信厚生労働大臣と小池百合子知事であった。