contribution寄稿・コラム

「行ってわかった国連の真実」 ①日本の誤解を解く…誰かがやらねば! 元衆議院議員 田沼隆志

「行ってわかった国連の真実」
①日本の誤解を解く…誰かがやらねば!
元衆議院議員 田沼隆志

 
私は3月13日から17日まで、国連欧州本部のあるジュネーブを訪問し、NGOの一員としてスピーチをしてきました。
日本の言い分を、世界に訴えるためです。
 
国際社会では、日本に対する誤解が満ちています。
「従軍慰安婦」や南京事件などの歴史認識問題のみならず、様々な論点で、国際機関から日本に改善勧告が出ています。また世界各地で、銅像や碑文の設置等が起きています。
これは国内外の反日勢力による宣伝活動が、極めて大きな影響を及ぼしています。
しかし反論するべき外務省は、発言に責任が伴うがゆえでしょうか、量的にも質的にも全く反論が足りません。
民間NGOはほぼ全て、反日勢力そのものであり、むしろ日本政府を非難しています。事実に基づいて反論する、保守系ロビイストは、人数・活動ともに圧倒的に不足しています。ゆえに日本側の主張は浸透せず、誤解は年々拡散し、冒頭のようなおかしな勧告や動きとなってしまっています。
そこで私は、保守系民間NGOの一員として、国連人権理事会にて、日本の正しい言い分を訴えるべく、同志の皆さんと一緒に、ジュネーブに行ってきました。
 
直接のきっかけは、杉田水脈代議士からの依頼です。日本維新の会時代から、杉田さんと私は、中山成彬会長のもとで「歴史問題検証プロジェクトチーム」の事務局を共にやり(杉田さんが事務局長、私が事務局次長)、河野談話見直し署名の募集など、日本の名誉を守る活動をやってきました。長年の同志です。
杉田さんは、私と同じく2014年に衆院選に落選したあと、こういった国際社会での発信活動を熱心にしていました。その結果、外務省杉山審議官による、日本政府としての初の慰安婦「強制連行」「20万人」「性奴隷」否定見解を引き出すことに成功しました。2016年2月、ジュネーブ国連本部での女子差別撤廃委員会においてです。素晴らしい活動だったと思います(なお、この杉山発言が、政府の正式見解であるかを、杉田さんは今年3月に衆議院外務委員会で質疑し、確定させています。これも重要かつ画期的なことです)。
しかし杉田さんは2017年衆院選で自民党から現職復帰し、それまでのようには海外に行けなくなってしまいました。国会議員は会期中、海外に出張するには、制約があるためです。
そこでこの活動を継続してくれないかと、後継者を依頼されました。
 
私は2014年の落選以降、自民党からの立候補を目指し、精一杯活動をしてきましたが、昨年の衆院選では残念ながらそれは実現せず、いまも捲土重来を期して政治活動を続けています。
そういう立場ですので、正直なところ、依頼を受けた当初は逡巡しました。国際社会での発信活動をしたところで、自分自身の選挙にプラスになるとは考えにくい。有権者である国民が、この日本の誤解された状況を知らないし、関心も低い。それに自分にも、時間や能力はもとより、経済力も含め、余裕もない。
しかしながら同時に、日本を愛する者として、なんとかこの日本の苦境を打破しなければならない、とも思っていました。国際社会の中で、日本の言い分を訴え、日本の名誉を守りかつ国益を確保することは、極めて重要であり、必ずや誰かがやらねばなりません。かつそれは、政府外務省だけに任せるのではなく、ときには外務省を叱咤しときには応援する、民間の活動が必須です。いまはそれが、ほとんどないのです。
もちろんこの活動をこれまで担われた、同志の皆さんは、加瀬英明先生や藤岡信勝先生、岡野俊昭・元銚子市長、山本優美子さんなど、素晴らしい方々がたくさんおられます。しかし杉田さんが欠けた今、元国会議員のような、日本の国政に近く、それでいて民間にいる人間は、やはり必要かつ有効なのではないか…と考えました。
そこで、いつまでできるか、また能力も足りるか、わかりませんが、私ができることは精一杯やらせてもらおう! と、最終的に依頼を引き受ける決断をしました。
 
今回の訪問先は、ジュネーブの、国連欧州本部です。元々は国際連盟があった場所で、建物はその当時のものを踏襲しています。アールデコ建築の格調高い建物で、パレ・デ・ナシオン(Palais des Nations)と呼ばれています。今回はそこに常設されている、人権理事会に出席し、NGOとしてのスピーチをしてきました。
国連というと、ニューヨークの本部をイメージする方が多いと思いますが、実際は世界の何箇所かに分散しています。有名な総会や安全保障理事会はニューヨーク本部にありますが、ジュネーブには今回訪問した人権理事会のほか、人権高等弁務官や難民高等弁務官など人権関連の機関、更にはWHO(世界保健機関)やILOのような専門機関など、多くの機関が集中しています。その他、前述の女子差別撤廃委員会のような、条約に基づく「会期委員会」というものもあり、そのうち複数の委員会が慰安婦問題を取り上げています。それらもジュネーブ開催が多く、まさにジュネーブは、慰安婦問題を含めた“人権外交の主戦場”となっています。
 
しかし行ってみてわかりましたが…
衝撃でした。
国連は“まるで機能していない組織”であり、なおかつ“左派の牙城”だったのです(続く)
 
 

 
元衆議院議員 田沼隆志
略歴:
昭和50(1975)年 千葉市生まれ 千葉市在住 3児の父
千葉市内公立校を経て、東京大学卒
外資系経営コンサルティング会社 アクセンチュア勤務
鹿児島県知覧の特攻記念館で実物の遺書に感銘、英霊に応えるべくゼロから政界入り
千葉市議会議員2期、衆議院議員1期 現職時代は教育委員会改革や教科書採択正常化、歴史問題など、教育分野を中心に日本の名誉を守る活動に打ち込む
現在再起を期して活動中
一般社団法人にほん塾代表理事 地元で「おやこで寺子屋」開催、子供に日本の基礎知識を講話している
趣味は合唱 「合唱団からたち」団長 チバテレビ「カラオケ大賞21」に出演、週チャンピオン獲得