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「中国による臓器移植を考える会」設立記念シンポジウム開催 地方議連も同時に発足

シンポジウムの司会を務めた佐波優子氏(Photo/松原 久)

23日、参議院議員会館において、「中国における臓器移植を考える会(加瀬英明代表/略称:SMGネットワーク)」設立記念シンポジウムが開催された。

中国では、思想信条の理由で捕らえられた「良心の囚人」から生きたまま臓器を抜き取り、共産党幹部とその一族、国内外の富裕層の需要に応じて提供する臓器移植ビジネスが横行しているという。

被害者となっているのは、ウイグル・チベットなどの少数民族、無実の罪で逮捕された法輪功等の修練者や他の宗教者で、年間に6万から10万の移植が行われているといわれる。

このホロコーストにも匹敵する中国の犯罪行為に対し、国際者社会の監視の目も厳しくなっており、イスラエル、スペイン、イタリア、台湾では、自国から臓器移植目的で海外に渡航する「移植ツーリズム」を厳しく取り締まる法改正が実施されている。

しかし、日本では、移植ツーリズムを取り締まる法整備は行われていない。

SMGネットワークは、中国による臓器狩り犯罪をストップさせることを目的として設立された。日本政府や議会、メディア等に働きかけていくという。

シンポジウムでは、中国による臓器狩りを長年にわたって調査してきた専門家による講演が行われた。

ジェイコブ・ラヴィ―医師(Photo/松原 久)

イスラエルのジェイコブ・ラヴィ―医師によると、イスラエルでは、臓器移植法に、移植ツーリズムを規制する条項を盛り込み、中国への移植患者の流れを阻止した他、国内でのドナー登録して3年経過した者には、臓器移植が必要となった際には優先権を与えるなどして、国内でのドナー登録者数を大幅に増加させるなどの成果があがっているという。

SMGネットワーク事務局長 野村旗守氏(Photo/松原 久)

参加者との質疑応答では、日中間の歴史認識問題におけるSMGネットワークの立ち位置を問う声があったが、同ネットワークの事務局長を務める野村旗守(はたる)氏は、同ネットワークの活動について、政治活動ではなく、あくまでも人権問題・人道問題として取り扱っていくとの考えを示した。

二部の地方議員による会合では、SMGネットワーク地方議員の会が発足し、代表に丸山治章逗子市議会議員、副代表に三井田孝欧柏崎市議会議員、石橋林太郎広島県議会議員が就任した。

野村氏は、「(臓器移植を目的とした)中国への渡航を禁ずる法律を国会議員に作ってもらいたいが、教科書問題・拉致問題等に取り組む議員しか動いてくれない。(中国による臓器狩りは)これだけ重要な人権侵害にも関わらず、なぜかリベラルと呼ばれる議員が全く反応してくれない。普段、平和・人権と言っている人達に、この問題を働き掛ければ、一も二もなく飛びついてくれるだろうと思ったが、まったくそういうことはなかった」と述べ、リベラルと呼ばれる議員たちの対応への不満を露わにした。