scurity「セキュリティこそわが原点」

「セキュリティこそ我が原点」③ 薬物蔓延るNY!パトロールはエキサイティング!(後編) 栗林寿行(地域セキュリティアドバイザー)

「セキュリティこそ我が原点」③
薬物蔓延るNY!パトロールはエキサイティング!(後編)

栗林寿行(地域セキュリティアドバイザー)

ドラックディラーを押さえ付けパトカーの到着を待っていると、ぞろぞろとどこにいたかわからないが、沢山の黒人が集まって来た。
どいつもこいつもいかにも悪そうな連中。
あっと言う間に取り囲まれる。

「流石にヤバい!今日で俺の人生終わりかなあ。」とある程度覚悟を決める事態になってしまった。
が、同時に不思議なもので、言葉は通じなくとも同じGA のメンバーが周りにいると言う事で連帯感が生まれて危機を乗り切る自信も生まれて来た。

そんな緊張感の中、やっとパトカーが到着、他のGAのメンバーも駆けつけて来たからか、いつの間にか取り囲んでいた黒人達は消えていた。
(一人だけナイフを所持していたので逮捕されていたが。)
ドラックディーラーとナイフ男がパトカーに乗せられ一件落着。
他のチームはまた別の場所にパトロールに向かう。

こんな時は、さっさと本部に戻るのがルールなのだが、我々当事者は大量の薬物を押収した手柄に酔いしれていた。

すると、またもや、ぞろぞろと黒人が集り出した。
本当に暇な奴らだ。
今度は、流石にリーダーも「本部に戻ろう!」と一言。
我々は、ゆっくり悠然とした態度で現場を去った。
黒人連中は、おそらく、ドラックディーラーやドラックを買っている連中であろう。
(ジャンキーの連中からしたら、楽しみを奪われたのだからGA憎し!になるのも当然か。)
我々に罵声を浴びせながら、脅しでビール瓶を投げ付けて来るが、こんな時は走って逃げると反射的に体に当てて来るから走っては行けない。
しかし、足元で投げられたビール瓶が割れるのはかなりの恐怖だった。

何とか本部に戻ると、本部長から「パトロールでトラブルがあり解決したらさっさと現場を去るのが当たり前だ!」厳しいお言葉。
ま、考えたら当たり前だ。

GAのパトロールシステムは非常に良く出来ていて、警察が介入するレベルの事件対応をした場合は、必ず本部に戻りパトロールを終了する。
何故かと言うと、それなりの事件を対応した後は、テンションが上がり過ぎてその後のパトロールに悪影響を及ぼす危険性があるからである。
パトロールにもクールダウンが必要だ。

本部にて、ミーティングを終え宿舎に向かう。(当時の本部は、ブロードウェイから1ブロック隣の8番街に有った。本部は二階にあり、一階は、アダルトショップと言う教育上良くない環境だ。GAは、ダーティーな場所に本部を構えてそこを拠点として周りを綺麗にするのである。その為には、バックストリートは最適な場所だ。)
宿舎は、本部から徒歩で30分位でハドソン川沿いに有った。元々は倉庫街で道路には、売春婦が立っていて、今夜のお客様を探している風景は、一昔前の新宿大久保周辺と同じ風景だ。
もちろん、売春婦を見つけたら、「この場所から消えろ!」と排除はするが、又戻って来るの繰り返し。
俗に言う、イタチごっこかも知れない。
しかし、これからの行為は意味がきちんとあるのである。
(イタチごっこ云々については、機会を見て語りたいと思う。)
宿舎は巨大な倉庫の最上階に有った。
階数的には6階位だが、倉庫は天井が高いので実際には8階位かな。
エレベーターが壊れているので階段の上り下りだ。
宿舎は、非常に広いスペースで、驚く!
窓から見えるエンパイアビルディングを見て、NYにいる事を実感する。

寝袋に入り、残りの滞在期間にどんな事が待ち受けているのか、ドキドキしながら深い眠りに落ちた。