cc「中朝国境の旅」

「中朝国境の旅」第五回 宮塚コリア研究所研究員 ・中学校教員 野牧雅子

 私は、中朝国境で多くの写真を撮り続けた。雑誌やスポーツ紙で取り上げていただいたものもある。すべてデジタルで撮った。写真愛好家はよく、「デジタルよりも、フィルムのほうが良い写真が撮れる」とか「写真の修業はフィルムでするのがよい」という。しかし、報道写真なら、フィルムよりデジタル写真でなくては、仕事にならない。情報処理の速さが違う。パソコン画面で自由に引き延ばして見る、メールに添付して送る、ファイルをコピーする、などなど、簡単にできるからだ。

豆満江の家

豆満江の家

 今回の写真は、初めて中朝国境へ行った時のもの。茂山の近くの河沿いの家。

 屋根が崩れそうな家だが、庭がある。庭とは言え、これは自留地と呼ばれるもの。自留地とは、自分で自由にできる土地、という意味。自留地の中では何を作ってもよく、収穫された作物は、自由に売ったり、食べたりでき、その収入も自分のものになる。北朝鮮では、実際にどの程度の「自由」が許されているかはわからないが、作物は植えられている。人々は共同農場よりも、自留地の作物を熱心に手入れするという。共産主義社会の独特のものなのだそうだ。北朝鮮の「自留地」を囲む細い板だが、素人が打ち込んだものなのだろうか。不揃いである。私と夫(宮塚利雄)は、これらの板を「蘇東坡」と呼んでいる。

記事の続きは有料会員制サービスとなります。

2023年3月より新規会員は新サイトで募集しています。
こちらでご覧ください。

Yamatopress Web News

やまと新聞は日本人による日本のための新聞社です。
会費は月額350円(税込)です。全ての記事・コラムがご覧いただけます。

会員の方はこちら