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台湾は日本の生命線「蓮舫と法務省―良心を奪う『一つの中国』宣伝」 台湾研究フォーラム会長 永山英樹

(1)台湾を中国領土と見る台湾血統の新党首

 台湾人の父を持つ民進党の蓮舫代表代行が九月十五日、新代表に選出されたが、代表選中の十一日の記者会見で吐いた次の言葉を振り返りたい。自身の二重国籍疑惑を否定するための発言だ。
「『一つの中国』論で言ったときに、二重国籍と(いう言葉を)メディアの方が使われることにびっくりしている」
 時事通信はこの発言を取り上げ、「中国の国籍法の規定では、蓮舫氏は日本国籍を取得した時点で、中国(台湾)籍を自動的に失っていることになる」との解説を加えた。
 もっとも、後で詳しく触れるようにこの解説は誤りだ。「台湾は中国の領土の一部である」とする中国の「一つの中国」宣伝に惑わされたがゆえの誤報なのだが、蓮舫氏もそれと同様に、台湾国籍を持つ者に中国の法律が適用されるとの認識で、「二重国籍」との言葉に「びっくり」したのだろうか。
 それともやはり「一つの中国」の考えで、台湾は「国」でないため、「二重“国”籍などあり得ないと主張したかったのか。
 どうもそういうことらしい。蓮舫氏は八日、Yahoo!ニュース編集部とのインタビューですでにこう語っていた。
―――少し法律的な話になりますが、(日本と中華民国が断交した)1972年以降、私の国籍は形式上「中国」になっています。仮に中国の国内法では外国籍を取得した者は自動的に喪失をしているので、二重国籍にはなりません。
―――また、日本と台湾は国交がないので、台湾籍を有していたとしても法的に二重国籍だと認定されることもありません。
 自分自身の国籍の問題でありながら、しかも国会議員の身でありながら、こうした謬説を展開するのは、「一つの中国」の謬論から脱却できないからだろう。

(2)台湾で蓮舫発言に怒りの声

 蓮舫氏の「一つの中国」発言は、直ちに台湾にも伝わった。そしてこれへの反撥は相当大きなものとなった。何しろ蓮舫氏は、あの国では日本の政界で大活躍する台湾人ヒロインとして期待の的。その期待を裏切ったのだから当然だろうか。
 たとえば民進党の管碧玲立法委員(国会議員)はフェイスブックでこう書いている。
―――蓮舫氏は「一つの中国原則に基づくと、台湾は一つの国ではない」と発言した。政治は何も冷酷無情(心狠手辣)である必要はないのに、蓮舫は今回とても冷酷。どんな立派な言い分があろうと、私はとにかく批判したい。冷酷な女だと。
 このコメントがマスメディアに取り上げられると、「台湾は国ではない」発言への怒りの声が政界やネットユーザーの間で更に一層渦巻いた。
 ただその後、管碧玲氏はコメントを削除。一部メディアもそのコメントを報じた記事を削除している。いったい何があったのか。産経新聞によると「管氏は13日午後現在、『誤解の可能性がある』として書き込みを削除している」とのことだ。では「誤解の可能性」とは何だろう。産経は次のように指摘する。
「(蓮舫氏の発言は)日本政府が台湾当局が名乗る『中華民国政府』を承認していないことを元に、メディアの表現に疑問を呈した形で、管氏の批判は誤解に基づくとみられる」
 つまり日本政府は中華民国を国と認めておらず、その見解に従った蓮舫氏への批判は当たらないというわけだろう。
 しかし私の見方は産経とは全く違う。管碧玲氏は誤解などしていないのだ。
 なぜなら蓮舫氏の発言が基づくところは日本政府の見解ではなく中国の見解だからだ。言いかえれば台湾侵略を正当化するための虚構宣伝だからである。
 今一度、発言をチェックしよう。「『一つの中国』論で言ったときに、二重国籍とメディアの方が使われることにびっくりしている」との発言だった。何度も言うように、「一つの中国」論は中国の宣伝以外に何物でもない。そもそも日本政府は「中華民国政府」を承認してはいないけれども、台湾が中国の一部であるとは認めない立場。産経はその辺りを知らないはずはないのだが・・・。
したがって、管碧玲氏の批判は「誤解に基づく」ものではなく、正確だといえる。
 そもそも蓮舫氏に「冷酷無情」との印象を抱いても、それは台湾人としては当然だろう。台湾にルーツを持ち、本来なら日本で先頭に立って「台湾は中国の一部ではない」と訴えるべきなのに、逆に台湾侵略を目論む中国の宣伝を受け入れるなど、日本人から見てもそんな印象だ。

(3)日本人から良心を奪う「一つの中国」宣伝

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