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ウルムチ事件の犠牲者を追悼し、中国政府の弾圧に抗議する日本ウイグル協会声明文 三浦小太郎(日本ウイグル協会理事・本紙コラムニスト)

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日本ウイグル協会 会長 イリハム・マハムテイ氏

 7年前の2009年6月、広東省の工場で漢人がウイグル人労働者を襲撃、多数の死傷者が出るという事件が起きましたが、中国当局は十分な調査も、加害者を罰することもありませんでした。このような不公正な態度に対し、ウイグル人たちは、7月5日、ウルムチ市における平和的な抗議デモを行い、法の下での平等と公正な裁きを求めました。

 しかし、この平和的なデモは中国政府の無慈悲な弾圧を受け、しかも武器を持たぬ市民が武装警察や軍隊によって虐殺されるという事態に及びました。いまだにその全体像は、中国当局が徹底的に隠匿しているため明らかになってはいませんが、数千人の犠牲者が出た可能性もあります。日本ウイグル協会は、この虐殺事件の被害者を追悼し、かつ、この事件の全体像の究明と、虐殺者の処罰、被害者ご家族への謝罪と補償を中国政府に要請するとともに、テロと民族浄化政策に反対する世界各国並びに人権団体に、抗議の声を中国政府に上げ続けることを求めます。

 そして、ウルムチ事件以後、中国政府の弾圧政策はさらに強化され、ウイグルでは言論、結社、出版の自由はもとより、ウイグル人としてのアイデンテイテイである言語や文化、宗教すらも弾圧の対象となっています。その結果、ウイグル人の中には家族を連れて東南アジアなどに脱出する難民も生まれ、現在、タイにて数十人が拘留中です。この流れは中国政府の姿勢が変わらない限り止まることはありえません。

 ヨーロッパにおけるシリアそのほかの難民の流出、また、ISの卑劣なテロリズムについて、全世界は団結して、難民救援やテロとの戦いに力を尽くすべき時です。しかし同時に、私たち日本ウイグル協会は、ウイグル難民の救援、そして中国の国家テロと民族虐殺政策に対しても、世界が同じ緊急の課題として取り組むことを求めます。ウルムチ事件を再び繰り返さないために、ウイグル人が民族のアイデンテイテイを守りながら自由に生きていくことができるために、私たちはこれからも闘い続けます。

2016年7月5日 ウルムチ事件7周年記念日

日本ウイグル協会 会長
イリハム・マハムテイ