contribution寄稿・コラム

ヘイトスピーチ規制法に思う 玉川博己 (三島由紀夫研究会代表幹事)

 

いわゆるヘイトスピーチ規制法が施行されました。

正に天下の悪法というべきでありましょう。もちろん筆者はあの反中・反韓デモにおいて一部の心無い人々が行ってきた民族排外主義による下品な演説やパフォーマンスには決して賛同するものではありません。

かつてこのことを三島研究会マルマガで主張したこともありますが、そのときに当研究会に寄せられたいわゆるネット右翼の人々からの悪口雑言には驚いたものです。三島由紀夫先生の著作にも、そしてわが日本国体を貫く皇道には他民族を蔑視し、これを排撃する思想は全くありません。一視同仁と万邦協和こそ、天壌無窮と万世一系の理想を戴くわが日本と大和民族がとるべき道だと思います。

さて今回のいわゆるヘイトスピーチ規制法の問題点は、その対象を日本国内の日本国民が大陸や朝鮮半島出身者に対して行うとされる民族蔑視の発言やデモを規制するだけに限定し、又一体なにが「ヘイトスピーチ」なのか、誰がそれを判断するのかあいまいなままであることです。

では国内で外国人が日本や日本人に偏見による攻撃を加えたときはどうなるのか(恐れ多いことながら皇室や靖国神社に対するヘイトスピーチもいまだ後をたちません)、また、戦後日教組が行ってきた教育は正に日本の歴史と名誉を貶める教室における「ヘイトスピーチ」そのものではなかったのではないでしょうか。

更にこの規制法は北京やソウルで日常的に行われている日本に対する「ヘイトスピーチ」には何の効力もありませんし、わが外務省にそうした外国による「ヘイトスピーチ」に対して断固抗議させる義務を負わせてもいません。そういう意味では極めて公平を欠いた規制法と言わざるをえません。

そもそも言論の自由は、三島由紀夫先生が何よりも守るべき重要な価値とされたものです。結局「ヘイトスピーチ」がいわれのない、偏見と差別によるものであれば、良識ある日本国民は決してこれを受け入れず、やがては誰からも見捨てられることとなりましょう。思想や言論はそうやって自然に淘汰されてゆくものです。かつて世界を跋扈したマルクス・レーニン主義は、それがもたらした非人間性と余りに大きな犠牲に気付いた世界の人々によって拒否され、淘汰されて、歴史の墓場に葬り去られたのです。今その残党である中国と北朝鮮の両スターリン主義国家もやがてその命脈のつきる運命から逃れることはできないでしょう。

三島由紀夫先生は「反革命宣言」(『文化防衛論』所収)において、日本の歴史的連続性、文化的全体性、民族的同一性の象徴である天皇こそ日本人が守るべき至高の価値であると主張されました。

そして三島先生はそれと同時に言論の自由も文化を守る上で大切な価値であると訴えられ、それを侵害せんとする革命主義=全体主義(共産主義)と戦うことを宣言されました。あらためて三島先生の自由と言論を尊重する姿勢に心から敬意を表するものです。

 

 

7月の会員例会は荒岩宏奨氏による日本浪曼派論

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日時 7月22日(金)18時半〜(18時開場)

場所 ホテルサンルート高田馬場大会議室

講師 荒岩宏奨(あらいわ ひろまさ)氏、展転社編集長

演題 保田與重郎と日本浪曼派

講師略歴 昭和56年山口県生まれ。広島大学教育学部卒、プログラマー、雑誌編集者を経て現在展転社編集長

昨年の弊会における「蓮田善明と三島由紀夫」に続く日本浪曼派シリーズ第二弾です。

会費 会員・学生1千円、一般2千円