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<教科書で教えたい近現代史 第1回> 転換期の歴史認識 鳥居徹夫

<はじめに> 転換期の歴史認識
昨年の平成27(2015)年は、第二次世界大戦終結70年目の年であり、 極東軍事裁判(いわゆる東京裁判)が開始されて70年目にあたる。この 極東軍事裁判は、占領政策として行われ、かつ国際法に反するものであっ た。 日本と連合国との終戦は、サンフランシスコ講和条約が発効した昭和 27(1952)年4月 28 日であり、この日が日本独立回復の日である。 わが日本国は、これまで多くの苦難に直面しながらも、国民の英知と奮 闘によって乗り越えてきた。とりわけ昭和期の6年8ヶ月に及ぶ軍事占領 状態を経て独立を回復するまでの道のりは、筆舌に尽くしがたいものであ った。 一昨年、平成26(2014)年は、いろんな意味で歴史認識の転換期でも あった。厚い壁となっていた河野洋平内閣官房長官の(慰安婦関係に関す る)談話についても、そのデタラメが明らかになり、また朝日新聞も、32 年間に及ぶ捏造報道を訂正することを表明(謝罪ではないが)したことが あり、歴史認識の正常化に向けての反転攻勢の年となった。 昨年、平成27(2015)年は、日露戦争勝利110年でもあった。 二百三高地陥落を受けての旅順制圧、日本海海戦でのバルチィック艦隊 の壊滅、そして奉天の会戦でロシアのコサック部隊を撃破しての勝利。 日本は、非抑圧民衆にとって、アジアの曙であった。 さらに昨年は、日清戦争勝利120周年でもあった。豊島沖海戦、黄海 海戦で北洋艦隊を撃破し、北洋艦隊の本拠地の威海衛を制覇し、ペキンを 震撼させ勝利した。 日本の勝利は、アジアの被抑圧民衆を目覚めさせた。そして白人諸国(欧 米)の植民地支配と(中国大陸の)華僑の経済支配という「二重の支配」か ら、解放・独立への大きなバネとなった。 昨年は歴史認識の大きな転換期であった。 今年、平成 28(2016)年も、日本の名誉と誇りをかけた戦いが続く。 引き続き、日本の名誉を取り戻し、歴史の捏造をノックアウトしなくて はならない。
平成28(2016)年 初夏
鳥 居 徹 夫


ハリマオと呼ばれたイスラム教徒=谷 豊 徴兵検査で不合格の青年が、靖国神社で英霊に!
昭和35(1960)年頃に『快傑ハリマオ』というテレビ映画が放映され、人 気を博した。ハリマオはマレー語で「虎」のことである。 このテレビ映画は、大東亜戦争の前後にマレー半島で日本軍に協力したマレ ーの虎、谷 豊(たに・ゆたか)をモデルにしたという。 次の参考図書からの引用であるが、この史実を紹介したい。 関係書籍としては中野不二男著『マレーの虎 ハリマオ伝説』(新潮社)、藤原 岩市著『F機関』(原書房)、土生良樹著『神本利男とマレーのハリマオ』(展転 社)などがある。

■□徴兵検査に不合格の青年が、敢然と復讐

日本からマラヤへ移住してきた谷豊の一家は、いまのマレーシア北東部 の街(クアラ・トレンガヌ)で小さな理髪店を開業した。街には移り住んでき た日本人も多かった。 昭和7(1932)年、谷豊は、徴兵検査のために一時帰国していたが、不 合格で軍には採用されなかった。身長がわずかに足らなかったという。 その時、マラヤにいた谷豊の一家に悲劇がおそった。 谷豊の弟・繁樹が、学校から自宅に戻ろうとしたとき、シナ人の暴徒集 団が日本人商店の襲撃を始めていた。 繁樹は、ひとりのシナ人が手に生首をぶら下げて歩いていくのを見た。 暴徒が去ったあと、自宅に戻った繁樹が目撃したものは、血まみれになっ た首のない妹シズコの惨殺死体だった。 余りにもショッキングな出来事であり、この事件がハリマオこと谷豊の 人生を大きく変えた。 妹がシナ人に惨殺されたことを福岡で知った谷豊は、単身マレーに渡り、 犯人探しを始めた。ところが下手人のシナ人は裁判にかけられたものの、 無罪放免で消息不明になっていた。 谷豊は、統治者のイギリス官憲に強く抗議するが、逆に不審者として一 時投獄されてしまう。さらに日本の政府関係者にも懇願するが、誰も取り 合わない。

この時、ハリマオ(谷豊)は21歳。 ひとりで復讐を開始する。 裕福な英国人の豪邸に忍び込み、また金満華僑も標的にし、金品を盗み 取るなど、義族的な活動は広がりを見せ始めた。 マレー人の配下も増え続け、ついには金塊を積んだ鉄道車両の爆破など 大規模な行動も展開した。 この頃、すでに谷豊は日本名を棄てハリマオの愛称で通していた。新し い部下は谷豊が日本人であることすら知らなかったという。

■□ハリマオは日本人のようだ

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