四月三十日、夕方六時のＮＨＫ総合テレビニュースで維新代表の松井大阪市長が「コロナ感染対策を強化のため、〝私権制限〟の議論をすべき」と記者会見で述べた、と伝えていた。〝半歩前進〟と喜ぶ。

次の七時では取り上げられない。代わりに、菅首相が医療従事者の感染症対策業務手当増額を発表する〝立ちコン〟が報道されていた。果たして、内閣総理大臣が発表することか。厚労大臣かワクチン担当大臣が、記者会見で述べる案件であろう。

当初から要望や要請、自粛などで解決できるのか、と懸念があった。〝私権制限〟には憲法改正が求められるという。マスコミも政党も、その議論を避けてきたきらいがあった。だからして松井発言を評価する。

評価できないのは、『週刊文春』（五月六・十三日号）の「山尾志桜里　不倫弁護士の前妻が自殺していた」の記事。不倫によって傷ついた弁護士の前の奥さんが、半年前に自殺した。その原因となったはずの山尾代議士と倉持弁護士が、いまもつきあっており、山尾氏は国会議員の交通無料パスを利用して逢っている、と非難している。

自殺は痛ましい。だからといって、半年前の不幸を半年以内に選挙を控えたこの時期に、大きく取り上げる意図は何か。

山尾氏が憲法改正を主張しているからか。倉持弁護士が飲食チェーンの代理人として、東京都の「時短命令」はおかしいと提訴しているからか。つきあっている云々は、個人の問題で論外。私事のパス利用は遺憾。ではあるが、読後感が悪かった。