2017年07月26日(水曜日)
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タジカラオの独り言 第五回「覚悟の時代」演出家・映画監督 野伏 翔

 11月から「めぐみへの誓い―奪還―」の地方公演が始まっている。今月は秋田県男鹿市を皮切りに福岡県福岡市、宮城県仙台市の三都市を回った。この芝居は2010年に東京で初演した。その時は劇団の自主公演、自分たちでチケットを売って興行する手間のかかるものだったが、二か所の劇場で合計三千人以上の観客を動員することが出来た。その二回目の公演をご覧になった、当時の拉致問題担当大臣古屋圭司氏の発案で、その後は内閣府拉致対策本部の主催による無料公演となっている。この公演は地方自治体が内閣府拉致対策本部に要請をし、拉致対がそれに応える形で公演が決まるという流れになっていて、どの地方でもボランティアで拉致被害者救出署名活動を続けている、地元救う会の人たちの熱意に支えられて運営されている。

 内容は13歳で拉致された横田めぐみさんのその後の北朝鮮での体験を縦軸に、大韓航空機爆破事件の実行犯であった金賢姫(キムヒョンヒ)の日本人化教育係、李恩恵(リウネ)こと田口八重子さんの姿、めぐみさんが悪夢にうなされて見た強制収容所の実態、そしてめぐみさんのご両親横田滋さん、早紀江さんたちご家族の救出運動の苦労を描いている。この舞台劇はどこの会場でも必ずすすり泣きの声が聞こえる。作者の私でさえ何度見ても必ず数か所涙があふれるシーンがあるが、その涙の理由は単に「拉致被害者が可愛そう」というものではなく、逆境の中でも何とかして生き抜こうとする人々の強い意志、決してあきらめない親子の愛情の深さ、自由の尊さ、と言った普遍的価値に共鳴しての涙であるようだ。

 そして何といっても確実に反応があるシーンが二つある。それは祖国から遠く引き離され監禁された被害者たちの、日本への望郷の念を描いた場面である。一つはめぐみさんの夢の中に出てきたお母さん早紀江さんが「さあ日本に帰ろう!めぐみちゃんは強いんだから、絶対に負けないんだから!」と娘を抱きしめ、お父さんの滋さんが「さあ、立ち上がるんだ!」と力強く励まし、親子三人で日本に向かって歩き出すシーンである。

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