2017年10月23日(月曜日)
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地政学的に見た台湾の政権交代と今後の日台関係の在り方

(1)

台湾では一月十日、総統選挙の投開票が行われ、野党民進党の蔡英文候補が与党国民党候補を破って当選。同日の立法委員選挙でも民進党が初めて過半数を上回った。そして五月二十日、蔡総統の就任式が行われたのだが、その間の三月十六日、中国では李克強首相が全人代閉幕後の記者会見で、次のように述べている。

 「我々は両岸(中台)経済貿易協力の措置は継続するが、もちろんその前提は九二年合意を基礎に両岸の平和的発展を維持して行くことだ。この政治的基礎に従い、皆で『同じ一つの中国』に帰属すると認めれば、どんな問題でも話し合うことができる」と。

 この「九二年合意」とは台中における「一つの中国」での合意とされるものだが、民進党はそれを認めていないのである。

そこで中国は、「一つの中国」原則を受け入れることが、台中の「平和的」な関係を維持、発展させる最低条件だと訴えているわけだ。これまでも民進党に対し、「基礎が牢固でなければ、地は動き山は揺れる」(習近平主席)など恫喝を加える一方で、上述のように「どんな問題でも話し合うことができる」などと籠絡もするなど躍起になっている。

そこで注目されたのが、蔡総統が就任式での演説で「九二年合意」の受け入れを表明するか否かだった。

「表明しない」が大方の予測だった。

そもそも実際には九二年にそのような合意は交わされていないし、しかもそうしたフィクションが案出されたのは、台湾と中国は別々の国であるとの現状を強調する民進党を牽制するためだった。二〇〇五年、国民党の連戦主席が訪中して胡錦濤主席と会見した際、そこで初めて双方間で「合意」の存在が確認され、国民党の「聯共制台」(中共と提携して民進党など台湾人勢力の台頭を抑止する)が本格化したとの経緯がある。

その後、二〇〇八年から八年間、国民党が政権を握ると、たしかに九二年合意を基礎に対中関係の改善は進んだ。しかし中国が改善に応じた最大の目的は、台湾側を「平和統一」交渉のテーブルに着かせることにあった。言うまでもなく「平和統一」とは、話し合いによる中国の台湾併呑だ。

日本では、蔡英文総統は緊張緩和のため「九二年合意」を受け入れるべきだと訴えるメディアもあったが、それではまるで敗北主義の勧めだ。そうなることがいかに危険なものであるかを考えた上での主張だろうか。

 

(2)

「台湾の問題は百年間放っておいていい。何でそんなに急ぐのか。たかだか千数百万人の島ではないか」

毛沢東がそのように語ったのは、七一年のニクソン米大統領との会談においてであるが、しかし今日の中国がかくも台湾併呑を急ぐのは、やはり海洋強国の建設という国家戦略上の必要からだろう。

 自らの軍事勢力を西へ西へと海洋へ伸張させ、対米防衛線を南西諸島、台湾、フィリピンと連なる第一列島線、そしてさらには小笠原諸島、サイパン、グアムを結ぶ第二列島線へと移し、そこまでに至る西太平洋で支配権を確立し、中国を中心とした新たなアジア太平洋秩序を構築して「中華民族の偉大なる復興」を果たそうと軍備拡張に余念なきこの覇権主義国家には、台湾は何としても奪取すべき戦略的要衝と映っている。

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