kokutai「日本への回帰」「揺るぎなき国体」

揺るぎなき国体(四) 神勅と帝国憲法第一条 展転社編集長 荒岩宏奨

揺るぎなき国体(四) 神勅と帝国憲法第一条

展転社編集長 荒岩宏奨

天忍穗耳命への神勅
 本連載の第一回で述べたやうに第九十回帝国議会では「国体」をめぐる議論があり、結局国体を明徴にすることができなかつた。しかし、「建国の体」を指すといふことでおほよその国体概念が一致し、昭和四年には大審院が「我帝国ハ万世一系ノ天皇君臨シ統治権ヲ総攬シ給フコトヲ以テ其ノ国体ト為ス」といふ判例を出し、帝国憲法の第一条「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」が国体条項とされたのは間違ひないことである。
 そこで今回は、日本は天皇が統治する国である根拠を探つていきたい。「建国の体」の根源は神典に書かれてゐる天津神々の神勅であらう。天照大御神(あまてらすおほみかみ)は神勅で、皇孫(すめみま)に日本を統治するやうにと「ことよさし」なされ、邇邇芸命が地上に降臨なされた。その後、神武天皇の御代にその神勅を達成し、日本の肇国となつたのである。
 『古事記』には次のやうに記されてゐる。
《天照大御神の命(みこと)以(も)ちて、「豊葦原之千秋長五百秋之水穗国(とよあしはらのちあきのながいほあきのみづほのくに)は、我が御子(みこ)、正勝吾勝勝速日天忍穗耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)の知らす国ぞ。」と言因(ことよ)さしたまひて、天降(あまくだ)したまひき》(『古事記』)
 天照大御神が、「日本は私の御子である天忍穗耳命(あめのおしほみみのみこと)が統治する国だ」とおつしやられてをられる。
 日本のことを「豊葦原之千秋長五百秋之水穗国」と呼んでをられることから、そこは稲がみづみづしく育つ国であることがわかる。本居宣長は『古事記伝』で、日本のことを「水穂国」と呼ぶ理由は、神代より伝へられてきた稲を天皇がお育てになりながら、ご統治なさる国だからだとしてゐる。
 天津神々の神勅を拝して、天忍穗耳命が地上に降臨なさらうとしたのだが、地上は大国主神が支配してをり、治安が悪かつた。このときに地上の状況を見に行つたことは「出雲国造神賀詞(いづものくにのみやつこのかむよごと)」にも書かれてをり、そのときに「国体」といふ語が使用されてゐるが、この「国体」とは治安状況を指してゐるといふことは連載の第二回で述べた通りである。

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