2018年02月18日(日曜日)
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【オピニオン】「メディアによる情報の欠如は、理解に影響を与え関係を傷つける」ロバート・D・エルドリッヂ博士

 昨年12月、一人の海兵隊員の勇気ある行動で、一人の日本人男性の命が救われた。

 今月14日、在沖縄米軍海兵隊司令部において、この勇気ある若者ジェイコブ・バウマン軍曹を称える式典が開催された。


 しかし、地元メディアである琉球新報や沖縄タイムスとテレビ局はこの出来事を黙殺した。在沖縄米軍海兵隊政務外交部次長ロバート・D・エルドリッヂ博士は、16日に琉球新報「論壇」と沖縄タイムス「オピニオン」に向けて自身の主張を投稿した。19日現在、琉球新報・沖縄タイムスに掲載されていないこの投稿を、今回やまと新聞に掲載する。


「メディアによる情報の欠如は、理解に影響を与え関係を傷つける」ロバート・D・エルドリッヂ博士


 2015年1月14日、私は地元高齢男性の命を救った、一人の海兵隊員を称える式典に出席する機会に恵まれた。男性は昨年12月23日、沖縄県北部の金武町において交通量の多い海岸道路で自転車から転げ落ちた。キャンプ・ハンセンに向かう道中でのジェイコブ・バウマン軍曹が男性を安全な場所へ移動して蘇生させたという行為は、とっさの機転と勇敢なものだ。

 式典は司令部で行われ、彼の所属する第3海兵師団・第12連隊の上司や同僚、そして彼の若き妻が同席した。

 式典は短く簡潔で威厳のあるものだった。司令官のランス・マクダニエル大佐は、歴史や神話上だけでなく、人間の生活における勇気について語った。「英雄的行為とは、普通の人が他の人のために並ならぬことをすることである」と彼は述べ、他の運転者が行わなかったバウマン軍曹の行動を賞賛した。救助の後バウマン軍曹はこの行動について聞かれ、他者を助ける、という考えから引き起こされた行動だと答えた。これこそが海兵隊だと筆者が思い、海兵隊以上に「良い友はいない」という表現の由来だ。

 報道関係者も招待されていたが、一人の兵隊によって地元住民の命が救われたにもかかわらず、驚くことに地元新聞二社だけでなく放送局も出席はしなかった。琉球新報と沖縄タイムスが訪れなかったことは大変残念だ。なぜいなかったのか理由は定かではないが、「招待を耳にしなかった」「より重要な取材が入っていた」といった言い訳をよく聞く。この場合は、この主張が事実でないなら、知らせを前もって受け取っており、人助けは賞賛に値することであり「命どぅ宝」だと同意するだろう。

 事実、この良い出来事についての記事の欠如は、数万件の例のうちの一つに過ぎず、それが意図的であれそうでなかれ、私はこのことを情報の「欠如」と呼んでいる。これらの話は友好、人道的な行動、善行、地域交流、米軍の存在や日米関係の多くの他の側面を含んでいる。前向きな出来事を報道しないことによって、メディアは実際に存在している日米関係を表現できなくなり、その代わりに、多くの事実や良い出来事を犠牲にした、否定的で扇動的な滅多に起こり得ないことに焦点を当てるのだ。

 実際には前向きなニュースを報道するいくつもの機会があるが、これらを報道しないという意図的な決断が存在しているとしか考えられない。最初の機会は、警察や救急隊員が現場に駆けつけた際、すぐに事故を追うことだ。そして実際にはそうでないにしても、その事故が地元住民と米兵との事故であるとメディアは耳にしたのではなかろうか。

 どんな理由であれ、その事故や事故当時の救助について知らなかったとしても、12月31日に在沖海兵隊のホームページで発表され、1月5日には日本語でも発表された、目撃者による論説によって知ることはできたはずだ。メディアがそれらを発信することはないが、彼らは米軍によって発表された情報の全てを必ず得ているからだ。

 もしそれでも情報が出された後も知らなかったのであれば、1月の式典への招待を受けて調査をするなり記事を発表するなりできたはずだ。しかし彼らはそれを行わなかった。そして残念なことに、彼らは式典に出席して、そのことについて報告をすこともなく、私達の隣人である沖縄県民の方々のために、その日示されたメッセージを読者に届けることも無かった。

 以上からすると、琉球新報と沖縄タイムスは偏向報道をしており、これが2000年採択された日本新聞協会の『新聞倫理綱領』に反すると結論せざるを得ない。

 那覇在住の平良哲氏が、昨年11月6日付けの『琉球新報』の「論壇」では、「新聞は大きな公共性があり、民主主義の根幹をなす中立・公正に基づく正確な報道が求められている。私たちは新聞に民主主義を維持するための機関として購読料を払い、深い関心と期待をもって読んでいる」。その主張に同感する。沖縄の二紙が、上記の綱領や読者の期待に満たしていないことに反省し、改善すべきだ。

ロバート・D・エルドリッヂ博士経歴
1968年米国・ニュージャージー州生まれ。在沖縄米軍海兵隊政務外交部次長。大阪大学大学院准教授(日米関係論)を経て、2009年9月より在沖縄米軍海兵隊外交政策部(現政務外交部)次長。1999年「サンフランシスコ講和条約と沖縄の処理ー『潜在主権』をめぐる吉田・ダレスの『交渉』」で読売論壇新人賞最優秀賞受賞。2003年『沖縄問題の起原』でサントリー学芸賞(思想・歴史部門)受賞。