2018年07月24日(火曜日)
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書評 アジャ・リンポチェ回想録 著者 アジャ・リンポチェ 発行 集広舎  三浦小太郎(評論家)

書評 アジャ・リンポチェ回想録 

著者 アジャ・リンポチェ 発行 集広舎 
三浦小太郎(評論家)
 

 本書は、1950年にチベット東北部オロンノールの、モンゴル遊牧民の家に生まれ、2歳でチベット仏教ゲルク派創始者「ツォンカパ大師の父」の転生者と認定された、アジャ・リンポチェの回想録である。
 
 1998年にアメリカに亡命するまで、アジャ・リンポチェの約50年間の日々は、まさにそのままチベット現代史の証言である。牧歌的な少年時代にはじまり、神秘的な転生認定、そして、直ちに始まった中国軍による僧侶への激しい弾圧とチベット全土の侵略。さらに、大躍進時代の飢餓、文化大革命時代の徹底的な弾圧。しかし、いかなる悲劇的な事例を語る時も、著者の筆致は常に冷静さを失わなず、ところどころにユーモアすら感じさせる。同時に,文化大革命のときに、ひどい迫害と強制労働の中亡くなっていく僧侶たちが、決して信仰を失わず、中国人たちに対しても恨みや憎しみを抱かずに静かに世を去っていく姿は、チベット人の精神がいかなる暴力にも屈することがなかった姿を美しく記している。

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