日本への回帰
万世一系の天皇9
展転社編集長 荒岩宏奨
百人一首に見る当時の天皇観
次に藤原定家の『小倉百人一首』から当時の天皇観を見てみよう。『百人一首』も『万葉集』と同じく私撰和歌集である。
『百人一首』巻頭に置かれているのは、天智天皇の御製である。
《秋の田の仮庵(かりほ)の庵(いほ)の苫(とま)をあらみわが衣手は露にぬれつつ》
この御製は、田仕事のことをお詠みになれている。天皇陛下が田植えや稲刈りをなされていることやこの御製について、天皇陛下は農民の苦労を理解なされるために田仕事をなされるという解釈されることもあるらしい。しかし、天皇陛下の田仕事やこの御製は、もっと深い意味を持っている。稲を育てるという田仕事は、天孫降臨のときの天照大御神の斎庭(ゆにわ)の穂(いなほ)の神勅による「ことよさし」に基づく、重大なお仕事なのである。この御製は、わが国がどのような国であるかということをお詠みになられている。つまり、わが国の国体をお詠みあそばされた御製なのだ。
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