2018年04月22日(日曜日)
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【読者投稿】テロの予感 元予備校教師・翻訳家 三沢廣(みさわひろし)

【読者投稿】テロの予感

 
百田尚樹氏の一橋大学での講演会が抗議活動によって中止になった同じ六月のうちに、香山リカ氏の江東区での講演会(江東区社会福祉協議会)がまたまた似たような抗議活動によって中止に追い込まれた。近頃、これほど面白い事件はなかったと続報を待ってゾクゾクしている。
 
一九九七年に、櫻井よしこ氏の講演が「神奈川人権センター」の抗議で潰された直後に、柳美里氏の後援会が同じように潰された。
 
面白いというか、いかにも分かり易いのが朝日新聞の反応。百田氏の後援会中止に対しては、報道さえしなかったのに、香山氏に対しては非常に同情的で、中止になったのは言論弾圧だと主張している。その後、百田氏が指摘しているように、香山氏の件でも朝日の扱いが案外小さかったのは、百田氏の件との対比上、あまり大騒ぎをすることができなかったのだろう。
 
二十年前も同じだった。櫻井氏の事件はほとんど報道しなかったのに、柳氏の件は右翼からの弾圧だと言ってキャンペーンを張ったものだった。当時、芥川賞を受賞したばかりの柳氏は、朝日文化人だと思われていたのである。ところが、柳氏はその後「反朝日」に変わってしまったらしい。最近は、「反・反原発」の立場を鮮明にしている。朝日も「あんなに庇ってやったのに」とさぞや臍を噛んでいることだろう。
 
それにしても、最近流行語となった「ブーメラン」現象ここに極まったりという外はない。
 
百田氏の後援会が中止になってから、私は言論弾圧の時代を予感して、暗い気持が治まらなかった。「差別」という殺し文句を唱えれば、言論の自由を奪っても許される。そして、左翼的な言論は何を言ってもかまわないという主張だったのだ。
こう言っては叩かれることになるとは分かっているが、香山氏の講演中止のニュースに接して、私はホッとしている。百田氏に対する言論弾圧の報復として、香山氏に対して弾圧が行われたのである。
 
どちらも言論弾圧であることは言うまでもない。しかし、左翼陣営の人々に、「弾圧をすれば報復をされる」という因果応報を悟らせたのである。
 
かつて、左翼陣営の人々は、米国の核は「悪い核」、中ソの核は「よい核」と言ったものだった。そのデンで行けば、百田弾圧は「悪い弾圧」、香山弾圧は「よい弾圧」と言えるだろう。いや、百田氏の意見がよい意見、香山氏の意見が悪い意見だと言っているのではない。どちらが先に手を出したかを考えてみれば、報復として行われた弾圧は「よい弾圧」と言ってよいだろうと言っているのだ。しかも、香山氏は、つい去年、早稲田大学で行われる予定だった桜井誠氏の講演を潰すための運動にかかわった人である。自分がこういうことをすれば、こういうことをされると予測できなかった想像力の欠如に私は驚く。
 
もちろん、私は百田氏を支持し、香山氏の意見には反対である。それでも、香山氏にも言論の自由を保障しなければ民主主義は成り立たない。しかし、百田氏だけが弾圧されるのを保守の側が拱手傍観している必要はない。「よい弾圧」があるという所以である。
 
これを機に、左翼陣営の人々は、「保守側の人々の言論を封殺してよいものか」という問題をじっくりと考えてみる必要があるのではないだろうか。報道機関は自社の意見と対立する人々の意見を黙殺してよいものだろうか。今回の朝日新聞の報道を見ていると、慰安婦問題から何も学んでいないように思われる。
 
ドイツでは、ナチスが出現した頃、左右の過激派がテロの応酬を繰り返し、だんだんと恐ろしい社会に変わって行った。今日本は、それと同じような進路を進み始めたのではあるまいか。一橋では、反日勢力が暴力を仄めかす発言をしていた。もはや言論による戦いではすまなくなって来た。
 
私の知人にも、公の機関で経済問題について講演した際に、中国政府の批判をした所、激しい抗議活動に遭遇し、三回の予定だったのが、一回で打ち切りになってしまった者がいる。北朝鮮の批判ができるようになった分だけ、中国と韓国に対する批判は徹底的な糾弾を招くという現実が存在する。
 
私は、香山氏に対する弾圧を弾圧だと認めた上で、敢えて「正当防衛の弾圧」と呼びたい。左翼陣営からの弾圧を批判するだけでは事態は悪くなる一方だ。弾圧すれば弾圧されるという覚悟を彼らに持たせなければならないのだ。
 
テロリズムの時代がやって来るのかも知れない。それを防ぐ方法を模索しつつ、それでも正当防衛の弾圧をしなければならないのだろう。
 
彼らは「差別」を金科玉条にする。我々は「反日」をスローガンにしよう。それにしても、去年、ある反日ジャーナリストが「反日という言葉は差別用語だから使うな」と言っていたのには笑わされた。
 
話は違うが、今回都議選の終盤、安倍首相の街頭演説は組織的な野次と怒号で、態を成さないまでに妨害された。これまた言論弾圧と言わずして何と言おう。ところが、新聞はこの事態をほとんど報じない。逆に、首相の「こんな人たち」という発言を糾弾する有様だ。
 
これに対しても、保守側は「正当防衛の弾圧」をしなければならない。民進党、共産党の街頭演説に対して、同じように野次と怒号で以て対抗するのである。最近は保守側の動員能力も左翼に追い付いて来た。左翼が「言論弾圧をやめなければやられる」という危機感を持つ所まで追い詰めようではないか。
 
そして、「一橋事件」と「秋葉原事件」の根が同じであることに気が付かなければいけないのだ。
 
 
元予備校教師・翻訳家
三沢廣(みさわひろし)
 
経歴:
予備校教師(十校以上)
教科「英語・国語」